2018年12月5日水曜日

Vol.225「QUEENとExtremeとIn the Soup」の巻

 赤、黄色、緑、茶色と重なって、紅葉が綺麗だなぁなんつって足止めて写真パシャパシャ、ここんとこ毎年思うけど、こんなに綺麗だと昔は思わなかったよなぁと、大人たちはなんであんなに紅葉が好きなんだろかと思ってたと思うけど、あの色を綺麗だなぁなんて思うのは僕も大人になったんだなぁと実感する。これもまた毎年思うけど、僕の人生で言ったらこの辺りなのかなぁと、枯れて燃える紅葉の色とりどりの中で特別共鳴する色をみては思う。冬将軍が本気を出すと手足の先が痛くなるこの頃、すっかり締め切りを過ぎてしまいましたが、いかがお過ごしか。

 今、周りの音楽関係者からよく薦められるQUEENの映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観た。2時間15分の上映時間もあっという間で面白かった。バンド結成から上り詰めて赤裸々な紆余曲折、ラストにはその全部を込めたライブのシーンで一音一音、一声一声、パフォーマンスにそれまでのことが込められてるように感じ、迫力があり恐竜映画やSF映画を観ているような気持ちにもなり興奮した。バンドモノの映画のライブシーンでそう思えてなんだか誇らしい気分にもなった。と書いて自分の中のツッコミ担当が「オイオイキミハクイーンヲチャントキイタコトガナカッタデハナイカ」と呟いてきますが、QUEENを知らない人でも楽しめる娯楽作品じゃないでしょうか。
 そう僕はQUEENの音楽を街中やテレビ以外でちゃんと聞いたことがなく、インザスープギターのハチが好きだったこともあり、なぜかメンバーが好きなモノは聞かないようにしたほうがバンド的には化学反応が生まれていいんではないかという狭い考えの時代に知ったので、うーん、どうも数学的な音楽だなぁとかなんとか理屈をつけて家でCDを流して聞くということがなかったのでした。というか単純に興味を惹かれなかったのですが映画を観てQUEENのメンバーに親近感を感じ、そのヒストリーを観た後のライブシーンは感動しました。

 QUEENで思い出すのはやはりハチ。デビュー前にザッピーという音楽雑誌のインタビューでインタビュアーの増田勇一さんより「影響を受けた音楽は何か」と聞かれてメンバーそれぞれ答えた中でハチが挙げたのが「QUEEN」と「Extreme」で、それを聞くと増田さんが、「Extremeのギターのヌーノが今度ソロライブで来日するから、友達なんだけど対談してみる?」となって「えぇ!」となり、自分は外人のバンドの人なのだろうくらいしかわからなかっけど、ハチが憧れた人と対談するなんてすごいなぁーとテンションがあがった。後日、増田さんが我々のCDをヌーノに聞かせてくれてOKが出て対談が決定し、赤坂のホテルの一室で対談をすることになり、呼ばれてもいないのに我々他3人もただの野次馬根性でついて行き、呼ばれていないので椅子もなく、広い部屋の端っこで3人並んで体育座りをして、ソファーに腰掛けたヌーノとハチの対談を見守った。見守っていたけど、フレンドリーに話すヌーノに対してハチはさすがに憧れの人だということもあり、こちらから見ると絵に描いたようなガチガチで、それでも踏ん張って考えてきた英語での質問をメモ用紙を見ながら質問してた。「がんばれがんばれ」な気持ちで見守るもあっという間にインタビュー終了となり、自分はもどかしく感じ、ここはボーカルの役目だろうと、もっと気持ちをぶつけなくてはと、頼まれてもいないのに知らぬが仏の強みでヌーノの前に行き、紙に「音楽=Sound Happy」と書いて「日本語ではミュージックのことをこう書くんだ、でも楽しいだけじゃないよね? 楽しい気持ち以外から音楽って生まれるよね?」的なことを中学英語で停止したままの語学力と気持ちで伝えると、ヌーノは言いたいことを察してくれて共感するように自分の意見を熱く語ってくれ、気持ちが伝わってきてこちらもまた熱くなりガッチリと握手をすると「お前は友達だ」というようなことをヌーノが言ったので「レアリー?」とイタズラ心も働いて言うと「ほんとだよ」的なことを言ってきたのでもう一度「レアリー??」と言うと「ほんとだ、ウソだとおもうなら今夜の俺のライブに来いよ、『むし』を演奏してくれよ、あの曲が好きで車の中で何度も聞いたんだ」的なことを言うので「本当かな、そんなこと言ってどうせ周りのイベンターやレコード会社のここにいるスーツを着た大人の人達から止められるんだろ?」的なことを言うと「大丈夫だ、とりあえずライブに来いよ」とのことでその場は終了してホテルを後にして、「いやーおもしろかったね」と半信半疑で僕たちは渋谷オンエアイーストでその日の夜に行われるヌーノのライブに行った。行くと約束通り中に入れるようになっていて、ライブを観させてもらった。満杯の会場の関係者席で観させてもらい会場の熱気にヌーノの凄さを知らされて、どこか「さっきは身の程知らずですいませんっしたっ」な気持ちにもなり、名曲「モアザンワーズ」では会場中の大合唱を聞いて感動して本編が終わった。会場中アンコールの中、やっぱり演奏するなんてありえないことだったかと思うもどこか「そりゃそうだ、とんでもないと言えばとんでもない」的な気持ちでアンコールを待っていると、ステージセンターにヌーノが出てきて「日本のバンドの曲で好きな曲があるんだけど、俺たちは弾けないんだ、だから本人達に弾いてもらいたいんだけどいいかな? 紹介するよインザスープ!!」僕たちは客席にいて「えええぇ! 本当にやるのか!」と慌てて裏の通路を走って行ってステージに上がった。ヌーノとヌーノのバンドメンバー達がにこやかにそれぞれの楽器をメンバーに手渡してくれた。ハチはヌーノのギターを渡され、でっかくて何個も積まれたアンプの調整の仕方をヌーノから教わって、Kはべースをわたされ、吉田くんはドラムに座り、自分はハンドマイクで、僕たちのことを誰も知らない会場一杯のヌーノファン達の前で「むし」を演った。会場はヌーノの紹介もあって盛り上がり、こちらも熱くなり、夢見心地の一曲を終えた。終えてステージ脇に引っ込もうとすると、ヌーノが拍手をしてくれていてニコニコとジェスチャーで「もう一曲やれ! もう一曲やれ!」とイタズラっ子ぽくふっかけてきた。マジかよと思ったが、すぐにここは「むし」に対しての2曲目は「LOVE SONG」でいこうと決めて、もう一曲演奏した。ここで映画ならさらに盛り上がり拍手喝采といくとこだろうけど、お客さんの反応は今ひとつだった。んが、ヌーノは喜んで拍手をくれて我々は引っ込み、最後はもちろんヌーノがアンコールを締めてライブが終わった。終演後、会場でヌーノ達と打ち上がった。僕たちはウッドストックに出場することを目指し、世界に通用するバンドになることを掲げていたので、ヌーノが認めてくれたこと、約束を守ってくれたことが嬉しくて、また、やってることが間違ってなかったというような気分にもなりビールがうまかった。連絡先を交換し、またねと別れた。
 
 翌日吉田くん家に行くとヌーノの外国でのライブの映像を観せてくれた。それがQUEENのボーカル、フレディ・マーキュリーの追悼ライブだった。会場は映画に出てくるような大きなスタジアムで、ヌーノ達はQUEENのギターのブライアン・メイに「QUEENのリアルフレンド!」とスタジアム一杯のお客さんに紹介されて登場し、演奏していた。それを観て吉田くんに「すごい人なんだね」と言った。そのあと吉田くんがインターネットで昨夜の反応を見て、我々が出たことによって少しだけ炎上してるのを教えてくれた。それをみながら「LOVE SONGはわかりにくかったか」と反省するも、昨夜の余韻に包まれていた。

 結局ヌーノとはそれきりだけど、今思うとデビュー前の我々を、よくあのステージに上げてくれたなぁと思う。ちょっと炎上したことはヌーノに申し訳なく思うけど、自分にとってはその後の自信にも繋がった経験だった。懐深く、約束を守ってくれたヌーノに、出会わせてくれた増田さんに、止めなかった周りの大人の人達に感謝だ。

 そう、そしてこう書いてて気づいたけれど、ヌーノが我々と「友達」の約束を果たしてくれて、そのヌーノがQUEENから「リアルフレンド」って言われてるということは、タモさん的にいけば「友達の友達は……」なわけでQUEENと友達ということにもなるのか、、、とか思ったりもして、、ってファンの方に怒られますね。映画を観て、規模はもちろん違うし全然違うバンドだけど、同じバンドマンとしては自分らを重ねて観ることもできて勝手に親近感も湧いて観れておもしろかったです。と今月はこの辺で、よい芸術の秋をっ。


ボヘミアン・ラプソディ。映画館で観た方がいいよと勧められるのもうなずける映画でした。

紅葉きれい①

紅葉きれい②

紅葉きれい③

紅葉きれい④
ハイスタの人とかにこういう髪型の人いそう。

三茶のちゃんぽん屋

ここ前に長渕剛トリビュートのレコーディングで三茶の来てた時に通ってたとこ。
久々にきて美味しかった。後味、口の中が美味しいのはきっと体にも良いものなはず自論に当てはまる店。

そしてこちらもこの秋に読んだバンドもの。
本人を知ってるというのを関係なく、いちバンドマンとしては、その時代に連れて行かれそして今の自分のケツを叩いてくれる本。脳内映画。クイーンと同じく親近感湧き、一緒にバンドの一員になったような面白さもあり、日本のバンドマンの一つの教科書だと言っても過言でない気がしました。おもしろかった。

そして11月は恒例の、先に挙げた本の登場人物である藤沼さん誕生日ライブ。
楽屋では本に書いてあった以外の話も聞かせてくれて、なおおもしろかったです。

さて、いよいよ今年も残すとこあと一ヶ月。
来年のスケジュール帳も買ってばっちこい。
良い年にしたろ。

バンドってやっぱり面白い。
バンドの数だけ宇宙があるんだろな。
QUEENもアナーキーもインザスープも全然違うのに重なるとこもある。
人が集まって何かしようとすれば音楽でなくてもそうだろうけど、音楽だからかわかりやすくドラマチックで人が愛おしくなります。バンドマンは音楽以外ののとこでも踏ん張って張らなくちゃいけない時、ちょっと非常識でもドアを蹴破らないといけないときがあるんでしょうね。インザスープにとっては今回書いたヌーノとのこともその一つだったんだろうとおもいます。
 

諭介がお答え致します

 

「ARB、人が凄すぎて全然ステージが見えなかったけどステージから熱いエネルギーがバンバン伝わってきて楽しかったです!
熱くて骨太なライブを堪能できました」
(柿の種 2018/11/18 20:27)
→パンパンの骨太やったね
ぎゅうぎゅうの中、体感してくれてありがとう。


「自然と曲や歌詞が二人にも馴染んでいるような感じで聴けたのは、コピーしていたのもあったのかもしれないですね。ARB40周年で諭介さんとKさんがかっこよく参加してくれてたのがファンとしても嬉しかったです。諭介さんの「それぞれがそれぞれのARBを持ち寄って集まった」の言葉で、出演者とお客さん、たくさんの人の中のARBを想いながら聴けたような気もします。先日稲毛では、コピーしてたら同じ曲作ってましたと同じタイトルの曲やっていて、そこまでしてるなら(笑)、影響もらって憧れた人達と同じステージでライブできたことは嬉しいことだろうなと改めて思っていました。インザスープでもそれぞれがそれぞれのインザスープを持ち寄って、みんなジュテームやイベントに来ているんですよね、きっと。40周年どうなるのか楽しみです(笑)まずは来月のライブですね♪」
(A.T 2018/11/19 17:28)
→曲がその人の人生の景色を写すのって作ってる方からしたらすごく嬉しい。理想郷だったね。みんな持ち寄って歌いあってたもんね。目撃してくれてありがとう。

「ARBは“男の人が好きそうな音楽”っていうイメージであまり聴いたことがなかったけど、自分が憧れて影響を受けた人達とステージで演奏できる諭介さんの感動や興奮が伝わってきました。
諭介さんが受けた日本のロックの洗礼がこれからの諭介さんの音楽にどう活かされるか楽しみです。

まずは12月のインザスープ、楽しみましょう!」
(夕陽 2018/11/24 12:18)
→女の人は男歌をどうきくんだろうか。
たしかに男歌ってやっぱいいなあと改めておもった夜やった。ガツンときたわ。15日もかましますんでよろしくね。

2 件のコメント:

  1. 人の縁って不思議ですね。音と歌で人が繋がっていくんですね。私は聞くだけだから分からない何か、鳴らす側というか演奏する側の人にしかわからない共感、共鳴するものがあるんでしょうね。
    「ボヘミアン·ラプソディ」見に行くタイミングが合えば見に行ってみたいです。

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  2. こんばんは。ヌーノとのエピソードは何度か聞いたことがあったけど、改めてスゴいな~って思いました。
    呼ばれたのは八さんだけなのにみんなで付いていってしまう団結力(笑)そしてヌーノへの積極的なアピール、それを受け入れてくれたヌーノの懐の深さ。完全アウェイでの演奏はさぞかし緊張したんじゃないかと思います。

    その後に繋がらなかったのは残念だけど貴重な経験でしたね。

    ヌーノが今もその時の事を少しでも覚えていてくれたらいいですね。

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