2007年9月28日金曜日

Vol.92「夏バイバイの秋日記」の巻

 秋。昼間暑くて、朝夕涼しく気温の変化激しいなかでの体調管理、風邪などひいてないか、いかがおすごしか。
 
 9月23日は宮崎の地元で、毎年行なわれている「サウンドビーチすみえ」に参加いたしました。その一週間前に台風によって延期になり、スケジユールの合わなくなった出演者の代打として出てくれないかとの電話が入り、いくらなんでも急すぎるやろとおもうも、実行委員長が高校の後輩でもあったし、僕はスターでもあるので、ここは先輩風を吹かせ「おう! まかせちょけ!」と気前よくひきうけたものの、夜になって考え直し、スターなのに多少の条件等々の大人な調整をぐじぐじとして、参加するにあいなった。

 山をぬけ海に到着し、ヤッホーな気分も早々に司会業が待っており、宮崎のFMのDJである木村つづくさんとMCを務める。ライブイベントと思いきや、ダンスあり抽選会あり、フットサルあり腕相撲ありと、なんでもありのイベントだ。 
 スターなのでなんでもできると思われがちだが、司会ってむずかしい。自分のことだけじゃなく、全体を見ての要点をお客さんに伝えるってむずかしい。もう木村つづくさんにまかせっぱなしであった。さすがプロだ。僕は抽選会の時にくじを引く役目をした。
 一度やってみたかった伊東四朗の「ニン!」も、あまりに古いため自己満足に終わった。「ニン! 362番! シイタケ! おめでとうございます!」ってな感じだ。「このシイタケどうやってたべますか?」「味噌汁に入れて食べたいとおもいます!」「いいっすね味噌汁! おめでとうございます! じゃあ次!」ってな感じだ。
 僕は二十歳そこそこの頃を思い出した。社会勉強だとパブで働いたことがあった。パブとはいえ、女の人などがきた場合席につき会話をする、なんちゃってホストだ。僕は人と会話するのが苦手だった上に、自分で働いておきながら、“こんなとこに飲みにくる女子はアホや”ときめつけていたので、会話もはずむはずがなく。「食べ物何が好きなの?」「えー、わかんなーい」「へー、ピーマンとかどう? 食べれる?」「食べれないこともないけど」「じゃシイタケは?」と、どうでもいい質問をくりかえしていた。そのうちお客も「何この子、疲れる。替わってー!」とチェンヂを要求し、自分で先輩ホストのとこにいき「なんか自分、疲れるみたいっす」と言って替わってもらい、ぼくは商店街へチラシ配りにいくといってはギターをもっていって、歌ってさぼってた。かなり話は脱線したが、そんなシイタケリンクを頭の中で張りながらも、会場はうまか棒まき大会へ移ったので、ステージの上から大量のうまか棒を集まってきたガキんちょ等にまく。うまか棒を我先にと激しいバトルが繰り広げられている中、一人のガキんちょが微動だにせず、眉間にしわを寄せてこちらを睨みつけていた。僕の姪だ。僕はアイコンタクトを受け取ると、姪めがけてうまか棒を投げる。姪は笑顔になり、自分のまわりに投げられたうまか棒を拾った。

 それが終わると今度はフットサルの実況中継。グランドの方へ移動し、その隅で僕は解説を頼まれていたのだが、「ルールも知らないのにいいのか」と聞いたところ、「いっちゃがいっちゃが」と実行委員が言うので引き受けたが、案の上展開が早く、なんにも解説できず、ただ見ていた。それでもところどころ「うわーすごいっすねー」とか、ただの感想をマイクにとおして述べていたのだけど、ふと客席の方を見ると誰もフットサルを見に来ている人がいなくて、僕は椅子から転げ落ちるくらいに大爆笑をした。どうにもならない木村さんと僕の中継が、芝生の上を転がっていた。

 夜になり、いよいよイベント本命のライブへと突入し、僕も休みながらライブのことだけ考えられる時間となった。延岡のバンドTHE SUSがかっこよかった。刺激を受けながら自分の番となり、歌った。最後には海辺より打ち上がる花火を見て、今年ぎりぎりの夏が終わった。
 台風のおかげで、ぎりぎりではあったけど、毎年手作りで、なんかやったろう!と自分等であれこれ考えてやり続けているイベントに参加できてよかった。

 

 翌日、実家に戻れば食べておきたい天領うどんを食べにいき、歩いての帰り道。団地の横を通りすぎるとモノが投げられた音がして、ヒステリックに子供を叱る母親の声が聞こえてきた。人の家には人ん家のルールや事情があるとはいえ、聞きたくない音と声だった。僕はわびしい気分を引きずって、きっと天気のせいだと、くもり空のせいにして団地をぬけて堤防にあがった。
 草むらに埋もれ、彼岸花が咲いてた。とんぼが飛んでた。空は相変わらず曇っていて、川は流れていた。やっぱり団地の声が残ってて、「ホテルルワンダ」という映画を思い出した。ひきずりながらも実家のご先祖さんの墓に手を合わせて帰った。

 毎年恒例のお祭。

ちょうちんをぬけていくと
おめんやら、金魚すくい 。

毎年おもうけど
色がきれいなお祭です。
小さくてかわいいお祭。
映画にでてきそうなお祭です。
もっとでかいビックリボ―ルをとってやろうと すくっては、流して
大物狙いのガキんちょの男の背中。