2016年2月29日月曜日

「人から人に継がれるもの、刻まれる心の磯」の巻

何か悪いことが起きると、「2月だからな」と、2月のせいにしてしまいたくなるドン曇ったこの閉鎖的な寒さ、節分を越して暦の上では春だったり、沿道でチューリップの花が、垂直に立った茎の上で膨らみ始めていて春の予感だけはあるものの、まだまだ本番じゃないですか、冬の将軍様、勘弁してくだせい魚も釣れねぇでやんす。なこの頃、いかがおすごしか。

そう、寒いと水温も下がって魚が沖の暖かな水温の方へ行っちゃうものだから地磯からは釣れにくくなるんですね。って、もういいですよね、釣りの話。さすがにハマりすぎだなと思ったのは、休日は釣り人多いだろうから早く行って釣り場を確保するべく、まだ真っ暗なうちに江ノ島に着き、釣具屋にてエサを買い、お店のおばちゃんに「もう人きてますか?」と聞いたところ、ちょっと呆れたように「っっだーれもこないわよっ、この時期こんな早くにっ」と言われ「えっ」とおもったけど、いやいやそんなこたぁないはずだ、何人かはもう磯に上がってるはずだと山を登り、裏磯に到着して、磯を見渡せば真っ暗で波の音だけがしており人の気配がまるでない。急に心細くなってその場で誰か一人来るまで待っていようと、寒い中30分ほど待っていた時、ちっとハマりすぎだなぁと思いました。そう言えば暗いとこが苦手だったなぁとか、寒いのが苦手だったなぁとか、そんなことを全く忘れるくらい熱くなっちゃってたんですね。この2月に2度ほど行きましたが、ここがあの黒鯛を釣ったところかと思うほど全く黒鯛の影もなくなり、メジナがポツポツ釣れるくらいでありました。さすがの磯先輩からのメールでも全くダメだったとのことで、やはり人間の数倍、熱に敏感だということで、水温が下がれば暖かいところへ移動しちゃうとのことでした。

んが、それでも行ってよかったとおもえるのが磯の魅力であります。先月書いたように1日磯の上にいるだけで心も体も充実します。

そんな磯の上にて、また貝で釣ってみようとナイフで貝をさばいていたら指を切ってしまい、こりゃ絆創膏がいるなと磯をおりて江ノ島のお土産屋やら食堂が並ぶ方へ行き一軒の食堂に入った。絆創膏だけもらうのもわるいのでラーメンを注文して待っていたのだけど、狭い店内でホール役で店主のおじいさんもイスに腰掛け厨房のおばあさんが作るラーメンができるのをまっている。自分の真ん前にいるものだから、何か話しかけたくなり「ここはどのくらいやってるんですか?」と聞いたところ「70年だよ」と教えてくれた。母親がこの食堂を立ち上げたとのことで「まだ戦争中で観光客相手に海をバックに写真を撮ったりもしていたよ」とのことで、一気に興味が湧いてしまい「えっ戦争中も観光客とかいたんですか!」と少々興奮気味に受けると、「いたいたーたくさんいたよー」と。よく考えればありえることだと思うけど戦争中の話を聞くと、その大半が大変だったことや、じい様達の武勇伝だったりしたので戦争中もこういった楽しみがあったんだなぁ、この場所で観光を楽しんでいた人達がいたんだなぁとグッときていると「だけどね」と続けられ「写真も海のあの方角を写してはいけない」っていう命令があったとのこと。そこは基地がある方角で遠く見えなくても何かしら情報が漏れるからとのこと。江ノ島の崖に砲台が作られて今もその跡があること、さらには戦争末期になると、それまで観光客が入れた場所も立ち入り禁止となったこと。なぜ立ち入り禁止になったのかをたずねたところ、「あの広い磯と、100メーター向こうにまた広い磯があるだろ、で、大きな四角い穴があるわな、そこに鉄塔を2本立ててケーブルで結ぶ、で、その間の崖の洞窟の中に基地をつくって、そこで魚雷を作り海からくるだろう敵に発射するための基地を作ってる途中で戦争がおわったんだ」とのこと。その魚雷は人間が乗るものであったことなど、おじいさんは話してくれた。自分が釣りをするためにのぼった磯にそんな歴史があったことを知った。実際にその作戦は江ノ島からは遂行されなかったけど、そんなことが進められていたことを、指をケガしたことでおじいさんの口から聞いた。その後、磯が重く感じて頭がそのことでいっぱいになった。月が満ち欠けを、波は満潮と干潮を繰り返し、変わらず磯はそこにあって波に削られてきた、江戸時代の職人が岩を亀の形に彫ったことも、兵器を作ろうとする人の歴史も、観光客も釣り人も、磯はただそこにあって、人の歴史も刻んできたんだなとおもった。

家に帰ってインターネットにてそのことについて調べてみた。自分のインターネット力ではおじいさんの話どおりのことには辿りつかなかったけど、磯には大きな穴があいていて、崖には洞窟があった。おじいさんは「ここから攻められていたら今の日本はなかっただろうな」と言ってた。情報は溢れかえっているけれど、岩のように語られていない歴史や景色はきっとたくさんあるんだろうなとおもった。人から人に直接語り継がれるものを肌身で感じて受けとったものは、自分に刻まれる貴重なことだとおもう。

磯から帰り、日常の暮らしに戻っても、ずっとその兵器のことが頭にあって、知ってはいたけど肌身で受け取ったからか離れず、その特攻兵器に乗り込む兵士達はどんな気持ちだったのか、自分で本当に志願したのか、志願しても実物をわかっていたのか、自分だったらどうしたか、自分だったらと、思いを寄せるも理解できず、それでもどういうことなのかと考えてこの日常の中で歯医者に行き、頭の中はそのことでいっぱいなのに歯医者は怖く、治療中に何度も先生から力を抜いてくださいと注意され、痛くもないのに眉間にシワが寄ってしまうものだから、「痛いですか」と聞かれ「いや全然痛くないです」とのやりとりを何度もし、少しシミたぐらいで体がビクン!となり「すいません痛くないです、クセなので気にしないでください」と言ったりしてる自分が情けなく、兵器と歯医者を一緒にするのは違うことだと知りながら、こんな自分にはやはり特攻兵士の気持ちは全然わからんなとようやく日常に戻ったような気がした。自分にはわからないけど、あのおじいさんから聞いた時の、その場所と人の歴史はきっとずっと忘れない感覚だとおもう。



磯に歴史あり。

貝ビッシリ。

今月は写真をあまりとっていなかったので、仕掛けの紹介。フカセ釣りの仕掛けです。

今年もよろしく、なリペア帰り我がエレキのナビゲーター。

冬眠中にパソコンで録音できるようになりたいとおもうも、初めて聞く専門用語に苦戦し、もうすぐ春なのに初歩の初歩。

江ノ島を調べると 妙音弁財天様という音楽の神様がまつられてるとのこと。去年の12月に初めて江ノ島へ行った時、裏磯への道を間違え、登らなくてよかった階段を登っていき 汗だくで着いた先に神社があり、せっかくだからとお参りをして  階段をまたおりていったのですが、よばれたような気がします。そうおもうようにしています。江ノ島はどうやら奥が深そうです。

そんな江ノ島の近くでライブが決まりました。こちらもよばれたような気がします。そう思います。よんでくれたM.M.KINGさんがチラシを作ってくれました。

ムニャムニャと冬眠して。ソロソロと起きて。ゴソゴソと動き準備して。ドカン!と3月からいきますので 春からまたどうぞよろしくです。


♦独占企画 諭介がお答え致します


■「今回のは良かった。中尾さんの高揚がビシバシ伝わってきた。これだけ好きなら中尾さんが漁師になってもファンとしては本望です。暗黙の江の島入磯許可証もらえたということは、向いてるんでしょうね。立ち飲み屋の話と絡めていましたが、初めて、ある程度の知識がないと入れない場所に、たった1人で潜入するときは、緊張もするけど、認めてもらえた!と思えた時、嬉しいですね。私は去年初めて池袋演芸場に1人で行ったとき、常連らしき客にお菓子をもらった時「通行手形もらった!」と思いました。あとルールも知らないのに競馬場に1人で馬券を買いに行ったときも、雰囲気を壊さないように、慎重に周囲を見計らい、新聞屋のおやじには「頑張れよ!」と、初心者コーナーのゃんには「当たるとハマるかもよ!」という恐ろしい言葉をもらった時、嬉しかったです。外れたので良かったです。大人の遊びですね!」
(みぃ 2016年1月30日 11:05)
→本当に一言、たったの一言で手形を感じることってあるね、子供のころから、あ、仲間入りできたんだって嬉しい気持ち、ちゃんとそこの空気を感じて勇気を出して立ち向かった時に感じれることなんだろね。競馬場でも演芸場でも磯でも。

■「やったーー!!!
読みながらわたしも熱くなりましたっ。
クロダイおめでとう!!

釣り経験がないので、
好きかどうかもわからないけど、
諭介さんの釣り話を聞くのは好きです(笑)
先日の歯医者での天然っぷり炸裂なスターから、
釣り師へのギャップがたまりません(笑)

磯先輩の、潮のながれをみて、、、や
『時間じゃないんです、自分が釣れそうだと感じるかどうかなんです』かっこいいですね。

磯先輩もかっこいいけど、
ライブを観ていて、スターもすごいなって思うこといっぱいありますよ♪
経験を積み重ねてきたからこそ、
出せる、できる、かっこいいなって思うことがねっ!詳細は敢えて書かないけど(笑)
そんな、唄うたい&釣り師中尾諭介(笑)←あっ、わらっちゃった。に今後も注目していきたいとおもいますっ! 」
(ゆな 2016年2月6日 17:33)
→ありがとう、やりました。時間じゃないんですってかっちょいいよね、インデアンみたいよね。あと、でも、その後釣れていなく、釣り師、黒鯛師なんて肩書きはまだまだはやいなとおもいました。すいません。スターだけにしときます。

■「2016年初釣行日記、読みました。黒鯛おめでとうございます!自分が釣ったわけじゃないけど、ちょっと心が震えました(笑)30センチ物差しを見ながら、これよりもちょっと大きな黒鯛に引っ張られる感じ、その重さを想像してみるけど、実際に体感するのとは全然違うんでしょうね。朝や夕方の景色の変わり方、海亀の岩、磯先輩との良い出会いがあったのも、釣りってロマンチックなんだなって思いました。海を見ると釣れる気しかしなかった。って、ところがお気に入りなんです(笑)諭介さんをそんな気持ちにさせるのを思うと、海とか黒鯛とかやっぱり少し宇宙的な感じがしちゃいます!」
(A.T 2016年2月12日 15:15)
→ロマンあるね、釣りロマンを求めてって番組が前にあったけど、いい名前だなぁとおもうもんね。宇宙よね、自分と宇宙のチュ-ニングが合うときが釣れる気しかしないって時だろね。

■「諭介さんの釣りへの熱意、ハマりっぷりにちょっと嫉妬すら覚えました(笑)もう立派な釣り師ですね。海の男、かっこいい!
私がそこまでハマれるものって何だろう?って考えたら、諭介さんの歌しか思いつきませんでした。諭介さんが黒鯛を釣って心が震えたように、私にも心が震えるような歌を冬眠が明けたら聴かせてくださいね」
(夕陽 2016年2月21日 10:41)
→あ~、あの震えは奥底からきたね-、がんばらにゃいかんですな-。

■「中尾さん、こんにちは。念願の本命黒鯛が釣れて良かったですね!
「釣り」というものの全貌を垣間見た気が致します。これほどの細かな沢山の段取りと手間をかけて1日どっぷりじっくり自然と交流するものなのですね。釣りの面白さに触れました。師弟関係の生まれること、自然と対話する姿勢の素敵さ、自然の恐さをすこぶる感じました。
一朝一夕じゃ身に染み込まない奥深いものですなあ、釣りの技量、知識、経験というか、感覚は。。しゃかりきで話してましたが、中尾さんは高校生の頃から撒餌して釣りしてたんですよね。こんなに本格的ですごいなんて驚きました。。

こちらの臨場感ある文面もそうですが、立ち飲み屋や教習所の話にしても、全身アンテナのおもろい男でありますな。。と、またライヴにお伺いするのが楽しみになりました。

p.s. 自分は釣り堀でも今まで一匹もお魚釣れたことがありません。釣れない原因は何か分かりますか?」
(たかの 2016年2月25日 16:36)
→やはり、こう、釣るぞ-って気持ちは大切だとおもうけどね。釣りに行ってるのだから釣りたい気持ちはあるけど、時々、仕掛けをセットしてその場にいるだけで満足してる時があって、そんな時は釣れない。同じ仕掛けを同じように海に投げてるのに、釣ってやるぞって攻めの気持ちがないと釣れない。その攻めの気持ちがあるかどうかで姿勢も変わって、魚に伝わるんだとおもう。落ち着いて攻める気持ちを高めるのが大事じゃないかしら。

■「クロダイさんに逢えたのですね~!!
新年早々目標達成!やっぱりスターは違いますね♪

釣りは年齢関係なく、人を無邪気にしてくれる気がします・・・60過ぎの父も、大間のマグロを
函館でも釣ったという周りの釣り仲間と共に、松方弘樹バリに張り切ってる姿は、大好きなオモチャで興奮する子供と変わらないなぁ~と思います。

海に囲まれた町で育ったので、何かあったらすぐ海に行き、何もせずただ眺めているだけで、スーッと洗い流されてリセットされていたのを、
中尾クンの海の写真を見て思い出し、
やっぱり海の近くに住みたいなぁ~と。

釣り&ライブツアーとか、北の海も違うお魚に出会えるので、来てくれたら嬉しいです~♪」
(まぁ 2016年2月27日 9:44)
→あ-海の近くにすみたいなぁっておもうね、車中泊にて釣り竿とギターもって旅したいなぁとおもうね、いつか。海って確かになんか洗い流してくれるものあるよね。ってか父ちゃんすごいね。