2016年12月3日土曜日

Vol.201「ロンドン、ダブリン日記の後半戦」の巻

寒さが痛い深夜、秋短くていきなりの冬、あっちゅう間に12月、今年の冬は寒くなりそうですな。風邪などひかぬよう過ごさねばですよ、いかがおすごしか。ほんとに時間が経つのが早い、ダブリンから帰ってきてもう1ヶ月もたったのかと驚く。恥ずかしながら心がまだどこかアイルランドにあるようでギネスビールの看板をみるとフラフラと入りたくなったり、やっぱりよかったんだなぁ、ぼかぁ好きだなロンドン、ダブリン……なんてことを想ったりもして。

そう、先月からの続きでロンドン、ダブリン記を書こうと思うのだけど、アメリカに行った時のようにこれといって事件が起きたり、ヤッホーな気持ちになったわけではないので何を書いていいのやらですが、ノッペリとしたダブリンの空よろしく、ノッペリと思い出したことを書いていこうと思います。連載201回目、おつきあいのほど何卒。

ダブリンのみんなと引き合わせてくれた日本人の友人等とも合流しロンドンの街並みを眺めたりご飯を食べたり。バッキンガム宮殿やウェストミンスター寺院など、石職人てすげーなぁーと何度もおもった。 日本で言うとこの宮大工さんってことになるんだろか。ウェストミンスター寺院の中は厳かで、天井 が高くてでかい。それでいて石像、建物の彫刻の隅々までの細やかさ、石が語るその歴史に神聖なものを感じて包まれ心が静かになる。帽子をかぶっちゃいけないと係の人に注意される。手に持って歩くので、癖で何度かまた被りまた注意される。いやはや何と言っていいやら、人の祈りは、石職人達の祈りは歴史を越えて、遠くから初めて来た僕をも包んでくれて心の底に足がぺたりとつくような気分になった。ここに通ったら死も怖くなくなるんじゃないだろか。街のいたるところにあるどでかい石像も、この街の人達の心を保たせているんだろうなとおもった。地震がないから昔の建物がずっと残せているんだと聞いた。建物も古く、これだけ歴史を感じさせるものの中で暮らすってどんな感じなんだろう。次から次に新しい建物を建て続けてる東京を思い出し、古いものと共存していることや、歴史が暮らしの真ん中にあることが少し羨ましくおもった。それにしても歩き喫煙率高し。そこもなんだか自分にはよかった。

夜、街を歩くとそこここの路上で歌ってる。聞いてみれば許可がいるとこといらないとこが分かれてるとのこと。街全体が音楽を受け入れてる。路上で歌って稼いで暮らしてる人がいるとのこと。その街の寛容さもまた羨まし。宿無しらしきおいさんは、日本と違って街行く人にお金をくれと次から次に猛アタックしていて積極的だった。なんだかそれは嫌だなぁと思ったけど、自分にはアタックしてこなかったので軽くオーディションに落ちた気分になる。

自分も路上で歌ってみることにしてギターを持ち歩き場所を選ぶ。営業時間を過ぎたアップルストアの前でギターケースを広げて歌った。「春夏秋冬」や「上を向いて歩こう」、「好きでいきていたい」など、昔から路上で歌う時に歌いたくなる3〜4曲を歌うと、何人かの人が立ちどまって聞いてくれて、小銭を入れてくれた。全部で5ポンドくらいか。なんだか嬉しかった。同時に15分歌って5ポンドだから時給にすると、ほほー暮らせないことはないし、いざとなったら猛アタックかとロンドン移住計画が頭をよぎる。

そんなロンドンを後にして飛行機で海を越えて1時間、アイルランドへ。東京大阪間くらいの距離だろか。空港に着くと、4泊お世話になるイジーが迎えに来てくれていて車で移動。この人が今回ライブハウスへ話を持ちかけてライブを決めてくれた。ノッペリとした曇り空が広がる空に、工場、二本のでっかい赤白煙突、田舎町、どこか自分の実家延岡を思い出す。途中 、港に寄りシーフードレストランへ行きクラムチャウダーを食べる。久々にうまいものを食べた。大丈夫だ、アイルランドは食べ物がうまいと一安心。海をみれば寒く深緑の寂しい海でアザラシが泳いでた。空も海も暗く寂しげだ。

ライブまでの日にちはイジー宅にお世話になり、日本人数名とイジー夫婦とその友達達数名と共同生活。日本人のみんなも英語で話し、自分だけがポツン。ニュアンスで大体わかるっぺでやってきたが生活となるとごまかし効かず、英語力のなさに完全に取り残される。サンキューサンキュー、ソーリーソーリー、コーヒーコーヒー、 など、一回じゃなかなか通じないので単語を2回言う癖がついた。

近くにギネス工場があり、観光地になっていて見学にいった。そこのバーでふたり組がアイルランド民謡をギターで演奏していて、それがよかった。HEAT WAVEの山口洋さんの音楽を思い出し、ルーツをみたようで痺れた。ギネスもうまかった。あとはみんなで馬に乗ったり、一人で川沿いをずっとマラソンしたり、部屋でギターを弾いたり、ギネスを飲んだり飲んだりして過ごした。

先月書いたけれど番組収録現場の町田から直接成田へ向かった、収録終わりに番組のスタッフが荷物の多い僕を見て、どこかに行くんですかと聞かれ、ライブをしにアイルランドに行ってきますと答えて別れ、バスに乗って運転手さんとふたりで成田へ向かっているところへメールが入り、もしかすると追っかけていくかもしれませんとのことで、心強くおもい、ぜひ!と返信。ライブ前日に本当に来てくれて通訳の方と3人で夜の街へ行きギネスビール。久々に伸び伸びと日本語だけで話せて助かったというような気分になる。

翌日はライブ当日。ダブリン市内でロケをし、路上で歌い、ライブのチラシを配った。一旦家に帰りライブまで2階の部屋で電気を消して寝る。横になるも眠いのに緊張してんのか寝れずにずーっとぼーっとして体調を整える。どこで歌おうと変わらない。いつも通りやるだけさと言い聞かせる。言葉の通じない場所でのライブは初めての経験。アイルランドでは老舗のライブハウスだとは聞かされていたけれど、ライブ会場へ行ったこともなくリハーサルもない。予想もつかない。やっぱり緊張した。その日はハロウィーン当日、街のそこここで花火が上がってる。時々子供が一階の玄関を元気よく叩いて、お菓子をもらいにくる声が聞こえてくる。静かな街に遠くの花火の音と子供達の声だけが聞こえてた。

会場の入り時間がせまってきたので歩いて会場にいく。街に近づくにつれて顔にペインティングした人達が多くなりハッピーハロウィン。ライブハウスにつくとステージへ、新宿ロフトのバーステージくらいの大きさのステージ。順番決めをして4組中2番目。今回このライブに向けてあらかじめ4曲と聞いていたので、日本で英訳した歌詞のテキストを作り持っていった。英訳の上に、インザスープのDVDでもジャケの絵を書いてくれた友達の画家、miyuさんが一曲一曲をイメージして絵を書いてくれた。これがまた心強かった。テキストを会場にいる人達に配り自分の出番を待った。1組目はニューヨークから来たスキンヘッドの二人組、勢いあって元気で面白かった。すぐに自分の番が来てステージにあがってギターをつなぎアイムカムフロームジャパンよろしくどうぞ的なことを言って一曲目を歌うと、歌の中に入れて落ち着いた。終わると拍手をもらって一安心。残り3曲を演奏。僕はバンドマンだからか弾き語りの時も表に出ていないバンドの音、リズムが自分の中に流れていて、その上で歌ってるようにおもう。何人かのお客さんが勝手にそのリズムを感じて揺れてるのをみて、自分達がやってきた音楽で通じれた気持ちになって嬉しかった。

自分の出番が終わり、フジロックに出たことがあるというアイルランドの二人組が演奏、4番目の男の子は客席からのヤジで途中でやめさせられてた。ここの客は音楽に厳しいよと聞かされていたけど、それを目の当たりにした感じだった。その代わりに客席にいた女性歌手が飛び入りし、抜群の歌唱力の一曲で締めた。あっという間だったけど刺激をたくさんもらった。

終演後、トイレに行くつもりが地下に迷い込んで扉を開けたら、その日は使われていない大きなステージが暗がりの中にあってカッコよかった。誰もいない暗がりの中に入り、立っている床を見ると新宿ロフトと同じ市松模様でなんだか縁を感じ、呼ばれてきたような気持ちになった。いつかはこのステージに立ちたいなとおもった。その日もギネスがうまかった。

そんなこんなでノッペリと書きましたが、初めての経験をするたびに高校時代に3つ4つのコードを教えてもらってからの旅なんだなぁと元々を思い出したりもして、またこれからが膨らみそうです。 と、今月はこの辺で。 続きは写真で、大バカ野郎集会で、また、tvkが映る人は正月の特番の中でもライブやロケの風景が 流れるとのことですのでぜひに。

さぁていよいよ200回記念大バカ野郎集会、ダブリンの話や映像、クロダイの映像も交えながら、完成したアルバムの曲達を中心に披露できたらと、おしゃれ街に緊張することなく気軽に楽しめたらとおもっとります。12月11日、横浜にて会いましょう。

[TICKET]
https://nakaoyusuke.thebase.in/




https://nakaoyusuke.thebase.in/

これがウェストミンスター寺院。たしかそうだったよなと今、
パソコンで念のため調ぶれば、当たっていた上に
世界遺産に登録とあって感動。
なるほどやっぱりそのレベルであったかってな厳かレベル。

感動したっすありがとうございましたっ。と
ウェストミンスター寺院を出て側面部分をパシャリ。

ビックベン。これもたしかそうだったよなと調ぶれば、これもびつくり。
ビックベンとは この中に入ってる鐘の愛称で建物名はエリザベスタワーと言うらしい。
と言うかそれも2012年に改名されたとのことで元々はクロックタワーという名前だったらしい。
ウェストミンスターの一部。我々日本人に馴染み深い学校のキーンコーンカーンコーンの元になった鐘。
あの曲名が「ウェストミンスターの鐘」と言うらしい。今更ながら知り、へーだ。

カムデンタウン

カムデンタウンのトイレ。位置がたけーなーとパシャり。

気軽にみんなやれる路上、どんなにはじめたばかりなんだろうなぁってひとも。
音楽が気軽にみんなの近くにある感じがした。
でも楽器屋さんは日本の方が何倍もしっかりしていて
品物も比べ物にならないくらいしっかりしてるんだなぁとおもった。
めぐまれてるんですね。日本の楽器屋さんが使えるって。

若者の街原宿って感じかカムデン

街に落ちていたキーボードスタンド。大ちゃんを思い出す。

日本の大使館。半旗。

路上で歌う私。

今回のアルバムでもありますが、宿無しのおいさんかなぁーとおもいきや
画家のおいさん。素敵な目をしてた。
いろいろ街の気をつけたほうがいいことなど教えてくれた、ゆったりとしたいい時間だった。

そしてダブリン。やっぱりドン曇りでお出迎え。

どこも室内での喫煙禁止。喫煙率高し。
よってパブでは人が店の外に溢れてタバコを吸いながら立って飲んでる。
そこここで見かけた風景。

かわいらしやアンブレラ、あちこちにモニュメントやらこんな遊び心があって、
そんなとこにも惹かれてた。 

今回はトイレによく目がいった。
トイレも配管がむき出しのとこが普通にあったりと、
日本のほうが手がこんでるんだなぁとおもった。

イジー宅の二階より。静かなハロウィン。

そしていよいよライブハウス、ウェランズへ。

紹介されて、いざ。

ハッピーハロウィン。これがmiyuさんが書いてくれた一曲一曲の絵と英訳。
気に入ってくれたようでぱしゃり。

迷い込んだ市松模様。

いざ帰る日になって晴天。ありがとうダブリン。またいつか!

東京到着。

帰って早々、藤沼さん誕生日ライブ。外丸さんと藤沼さんと。

お久しぶりっすなプライベーツは延原さんと。

今回のダブリンライブの一部など
tvkのお正月特番の1コーナーで流れるようなのでテレビ神奈川が映るはぜひ。
自分家は映らないので見た方いればご報告よろしくどぇす。
日にちなどわかったらまたブログツイッターでお知らせします。

アルバムにも入ってます。クロダイかきました。
トートバッグになって大バカ野郎当日帰っておいで。

たくさんの人の力を借りて、ぜひ手にとってきいてもらいたいアルバムができました。
詳しくはまたブログで書けたらと。

12月11日、この連載200回を記念しての大バカ野郎集会。
おかげさまでの気持ちを込めて成功させるべくあぁじゃないこうじゃないの毎日。
向かえる場所があることもまたありがたし。 横浜にてお待ちしとります。



 ♦独占企画 諭介がお答え致します


■「ハロー諭介さん(笑)。今月はアイルランドから帰ってきてからの更新かな?と思ってのんびり待っていたので、まさか空からのお便りになるなんてびっくりでした!偶 然にも200回目のコラムが記念すべき回になりましたね。どうしてるのかな?と思っていたので、バタバタ具合など想像はしていましたが、伝わってきて安心したり、頑張れー!と思ったり。気候のことや食べ物のこと読んでさらに心配になりましたが、たくさんのTシャツ重ね着してますかね?(笑)初めての地でのライブはドキドキだと思いますが、初めてのことはワクワクでもあるから、挑戦できることを楽しめるといいですね!あとはハロウィンのライブだし、お客さんをかぼちゃだと思えば……なんて(笑)。うまく行くよう応援しています」
(A.T. 2016年10月30日 13:12)
はいハロー、ご心配ありがとう。今おもえばだけど、行ったことないとこ行ってドキドキしたんけんど、いつもどこに居ても何がおこるかわからんし、どうなるかってハラハラは変わらんのだね。ドキドキしていたいね。これからもどこに居ても。

■「中尾さんの行動力にはびっくりです!荻窪のライブの時に突然アイルランドに行くと聞いた時は衝撃でした。アイルランド!?ライブ!?海外!? 本当にアイルランドで歌ってきたんですね。アイルランドでの様々な出来事を是非聞きたいです。ご報告楽しみにしてます」
(柿の種 2016年11月4日 17:24)
行くか行かないかと言われたら行くって選択肢しかないっべってお誘いは行くしかないっべって感じでありました。こういう刺激をくれるお誘いはありがたいね。ほんとに行ってよかったなってなロンドンとアイルランドでありました。そう、行くって言ったのにみんな半信半疑で信じてもらえず狼少年の気分でありました。

■「連載200回おめでとうございます。 アイルランドでのライブ、諭介さんの未知のものに挑む姿勢、かっこいいなーって感じました。でもこのまま帰ってこなかったらどうしようって少し不安だったのでちゃんと帰ってきてくれて良かったです(笑)。 現地のお客さんの反応はどうだったのでしょうか? 話の続き楽しみにしています」
(夕陽 2016年11月19日 10:39)
聞いてる人もいたし、喋ってる人もいてさまざま。何人か終わったあとに感想を伝えに来てくれたり、一番目と三番目の人も近づいてきて何やら感想を伝えてくれて嬉しかったよ。

4 件のコメント:

  1. 中尾さんの歌の旅は、いろんな場所いろんな人と繋がりながら続いていくんだなとアルバム「オレンジの太陽」を聞きつつ、このエッセイの文を改めて読んで納得。
    これからまたいろんな景色を見て感じて、いろんな人に出会ってそれが歌になっていくんでしょうね。

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  2. おかえりなさい。諭介さんの歌は大丈夫だって信じていたけど、途中でやめさせられなくてよかったです。読んでいてドキドキしました。でも突然アイルランドでライブすると聞いて私はちっともピンと来なかったです。諭介さんの歌が世界に広がって欲しいと思っているのに、諭介さんが日本にいないってことが大きな穴のようでした。戻ってきてからの話を読んだり、集会で映像を見たりして、よかったんだなと思えるのに時間がかかりましたが、初めてのことに挑戦できるってきっと嬉しいことなんですよね。勇気がいることだし緊張もするし、できるかどうかわからないことが、できた!って喜びはきっと力になるように思います。またどこかへ繋がれるといいですね。そのときはちゃんと心から応援します。でも猛アタックはやめてください(笑)

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  3. 大バカ野郎集会行きました。5時間のうちの大半を占めていたような気がした(笑)釣りの話は正直最初あまりよく分からなかったけど、楽しそうに話す諭介さんがキラキラ眩しくて、ちょっと興味がでてきました。

    あとこの日購入したアルバムも全部の曲に諭介さんの色んな思いが詰まっている感じで、これからまだまだじっくり聴いていきたいです。

    追伸 『シャララ』が特に心に響きました。

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  4. 中尾さん、こんにちは。夜と一緒に移動するなんて、サンタさんみたい! 
    成田を出発してから日本に帰国するまで、めまぐるしいほどの発見と感動が内側から外側から連続だったのですね!!!これじゃ日本に帰ってきてからしばらくの間は、胸がパンパンであったんじゃないかなあと思いました。 
    ロンドン素敵な街の景観です!これほど厳かで美しい建造物と日々の暮らしを営んでる人々の心には、おのずとその街の歴史に確かな愛着とプライドが生まれるでしょうなあ。。 
    素敵なあの大時計は映画で見かけますね。。いいなあ。いいなあ。寺院。 
    アザラシが泳いでるなんて!!野生ですか?水族館でした見たことないや。 
    ダブリンは英語ですか?アイルランド語もしゃべってましたか? 
    この旅を漢字一字で表すと何ですか? 

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