2008年9月29日月曜日

Vol.104「2008年秋」の巻

秋がきた。
舗装の整ったアスファルトの上を、枯れ葉がカラカラとすべって転がっていきます。
夕暮れになると、ビルディングのひかり達は、澄んだ空気の中でいっそう輝いて見え、さらさらと夏に汗かいた街を乾かしていきます。いかがおすごしか。

春に芽吹いて、夏に燃えたものが静かに死んでいく季節。
秋風はそんなもの達を優しく弔うかのように吹いてる。そう感じる。

おいさんは、突然あらわれた印象だった。
僕を車にのっけて、海につれていってくれた。 
足の届かない沖まで一緒に泳いでいき、おいさんはいきなり潜り、貝を手にもって戻ってきた。
僕も真似して、潜った。まだ子供だった僕には海の底まで潜るのにきつい深さだった。
なんども潜ってはあがってを繰り返した。その間もおいさんは次々に貝をとっていて、悔しくて意地になってなんとか一個貝をとった。
浜にあがって僕は得意げだった。たった一個の貝で男らしくなれた気がしたんだとおもう。
「この貝、なんちゅう名前?」と聞くと「バカ貝、おまえとおんなじ」と言って笑ってた。

また違う日には、川に連れていってくれた。釣り針と糸だけもってこいと言われ、何すんだろうと思っていると、おいさんは竹藪の中に入って行き、二本の細い竹をとってきた。
一本を僕がもらい、先っちょに糸つけて針をつけた。餌は土ほじくってミミズをとって針につけた。
その竿をもって、川に入っていき、胸元のとこまで入ってくと、「足で川底をほじくって、水が濁ったら餌落とせ」と教えてくれた。
言われた通り、川底を足でほじくって濁らしてから餌をいれた。
そしたら黒鯛の小さいの(チヌ)が釣れた。濁りに何事かと近寄ってきたチヌを釣る釣り方だった。
こんな原始的な釣り方で、憧れていたチヌが釣れることに感動した。
「こんげな簡単な仕掛けでつれるっちゃねー」と言うと「お前みたいなのが、寄ってきて釣らるっとよ」と笑ってた。

近所のおいちゃん方で酒飲みをするときにも、おいさんを見かけるようになった。あんまりべらべら話す方じゃなかった。
いつもでっかいサングラスのメガネをしてた。怒らしたら恐そうだった。一体なんの仕事をしてる人なんだろうと子供心におもってた。

僕が上京する時、わざわざ家に来てくれて、餞別をくれた。「がんばれよ」とだけ言ってさっさと帰っていった。

長い間会ってなかった。先日実家に帰ったとき、「疲れた感じで歩いてたのを見かけた」と噂だけ聞いてた。


僕は東京にもどり、舗装された道の上で、知らされた。
枯葉が暴れる風の強い日。おいさんの季節が終わったこと。

魚や貝やらどこでどうしたら獲れるのかとか、誰にも言えないことをたくさんもってるような目をしてた。
もっとたくさんのことを教えてもらっとけばよかった。なんにもかえせていなかった。
バカ貝の獲り方とあのチヌの釣り方、「がんばれよ」って言葉、僕はもっていこうとおもう。
2008年、秋の空。
レコーディングはお菓子だらけ。

スター地元の新聞に載る。

一杯1000円弱。もするマンゴージュース。
俺クラスになるとこんくらい軽く飲んじゃうと
時間かけじっくり飲んでた田中ロケッツ。
宮崎空港にて。


◆独占企画 諭介がお答え致します


■「こんにちは。中尾さん、聞いてくださ~い!!
私、好きな人に嫌われちゃったかもしれないんです。
同じ職場の人で、ずっと憧れていたからいつも緊張してうまく話せなかったんだけど、半年くらい前からちょっと仲良く話せるようになって、
私、ちょっと調子にのってたり嬉しかったり、
緊張してたりで、心にもないことを。。。失言してしまったんです! それ以来、彼の態度が素っ気なくなったような気が。。。
前ならどんなに忙しい時でも私が話しかけたら手を止めて答えてくれたのに、最近は、『ごめん、今忙しい、後にしてくれる』って。待ってても『後』なんかないんですけどね。
ただ、挨拶だけは、変わらず笑顔でしてくれます。
最近、後輩の女の子と仲がいいのも気になります。
今さら何を言っても言い訳がましいから弁解はしたくないんです。ズバリ! 私はどうやったら名誉挽回できますか?

中尾さんは、たった一言で嫌われたこと、嫌いになってしまったことありますか?」
(from:しおりん Sat, Aug 30, 2008 at 11:50 AM)
→ふわふわしちゃったのね。これはチャンスや。今よりいい女になるチャンスや。ふわふわしちゃって心にもない言葉をはいちゃって嫌われたら、言う通り弁解はできんし、気に入られようと手前みそで取り繕えば、かるーく見られて、なお遠ざかりそうやね。その人のことが好きっちゅう気持ちが球根だとして、根っこ以上の茎を伸ばし過ぎたと感じれるなら、根っこを伸ばすこともできるんじゃなかろうか。もくもくと笑顔でがんばってる女の人って素敵に見えるもんです。それに実は言うほど嫌われてないかもしれないしね。
僕はたった一言で嫌われたこと多々あるわ。その数では負けんっ。一言で嫌いになることってあんまないわ、三言くらいまでは我慢できます。


■「ゆうすけさん~♪なんだかあったかゆるいところ大好きデス☆
ずっと悩んでたことがあって、でも考えても答えは出なくて諦めていて…そしたらこないだライブで聴いた『人生レール』の中に、悩んでたことが『それでいいんだ』って思えた言葉があって、誰かに言ってもらいたかった言葉をもらえた気がして嬉しくて……涙出てきました。
ゆうすけさんありがとう。

 信じて耕して沢山収穫のあった畑を手放して……今の私の畑は何なのかわからないから、心耕して、『悲しみ』を『苦しみ』を『燃料に変えて』笑顔忘れずに、私の人生レールをゆっくり進んで行こうと思います! ゆうすけさんにしか作れない米やタマネギをちゃんと受け取れるように。
 どこにいてもいつでも探し出せるように光り続けていてください☆」
(from:ノン Wed, Sep 10, 2008 at 6:46 PM)
→曲できて、歌って、ライブやって、そうやってなんかしら残ってくれると嬉しくなるわ、ありがとう。もちろんこれからもどかどかやってくんで、というかどこにいても眩しすぎるとおもうんで、とくにライブではサングラス着用願います。

■「諭介さん、いかがお過ごしか?
私は今ネットカフェで、20世紀少年を一気読みしています。
只今、14巻目。
しかし、うっかりして16巻を先に読んでしまいました。
そんな私は、今日が誕生日です。
うっかりバースデー。
これからの私の人生をちょこっと予言して下さい」
(from:ボンフ Fri, Sep 12, 2008 at 8:28 PM)
→ハッピバーデー!そりゃ逆に忘れられないバースデーになりそうやね。
来年は誰かと、ちゃっかりバースデーを遂行してるでしょう。


■「はじめまして、中尾さん。
ってか、20代の頃は一方的には何度かお会いしてましたが(笑)仙台JUNKでしたかね、満員御礼だったと思います。一番前のど真ん中で、超キモチ良かったのを覚えてます。それ以来ですね、野音まで行ったのに。面目ない(笑)……どうしてっかなぁと気になってましたよ。仙台来てたんですねー! 残念です……今度必ず行きますから!

 ところで以前、四万十川が好きで……とおっしゃってたと思うんですが、私も好きで、いつか行きたいと思ってはや十数年(笑)。『四万十川』って映画観たことありますか? なければ、オススメです。なにせ10年前くらいに観たので、今あるのかどうか定かではありませんが。樋口可南子さん、小林薫さんが出演してます。とにかくキュンとしてグッときますから、四万十川好きの方にはぜひ観て頂きたい!!そんなこんなで、またきまーす」(from:ハル Mon, Sep 15, 2008 at 4:50 PM)
→いいねぇ、まずはそっからや。今年もいけんかった。非常に遠い四万十川です。
っちゅうか、ライブまた来なさいよ。また気持ちいーのかますわ。


■「諭介さん 秋の匂いを感じるこの頃ですね。お元気ですか?
 前回のコラムでは『畑仕事』に喩えた音楽活動の話でしたが、いよいよレコーディングをされているとのこと。作品は『種』ですよね。大きな可能性を持っているもの。じっくりしっかり……良いものができるといいですね。
先日は延岡・須美江でお会いすることができました。飛行機のシステムエラー、大雨と難関をくぐり抜けてのライブでしたね。大変でしたけど、楽しかったです。夏の海で春や冬の歌……『季節を歌う』感じ(?)も面白いです。スーパーバタードッグのカバーもレアでしたし、優しく心に響きました。
 私たちは、いろいろな感情の中にいます。疲れたりイライラすることもあります。そういうときは一息ついて自分を見つめなおすことも必要ですね。無理をしても続かないと思うし、できれば笑顔で自然な形で前に進みたいなと……最近そんなことを考えています。
 来月はワンマンが……今から楽しみです。またお会いしましょう!」
(from:オリオン Thu, Sep 18, 2008 at 8:28 AM)
→なんだかいろいろあった須美江やったな。風雲たけし城や。共に闘った同士みたいな気分になります。ありがとう。自分、哀川翔さんばりに走りながら充電するタイプだとおもってたけど、やっぱり休みは必要ね。

■「こんにちは。秋になりましたね。お店で買うとそんなこと全然思わないのに、自分らで育てた野菜を取って食べると余計に太陽やら雨やらありがたみを感じ美味しく思いますね。形や色艶にいちいち喜んでみたり。でも、お店のだって誰かが一生懸命育てたものですよね。手に入ることが当たり前に思っちゃって、いろいろ忘れかけてるなぁと思いました。私は田舎育ちではないけど、同じことの繰り返しは結構面白いなって思います。ときどきこの冒険できない性格は変えたいと思いますけどね~^^; でもまぁ同じことしてても変な形のピーマンができたり。同じ仕事してても思いもよらないところに繋がったり^^ 諭介さんの歌う玉ねぎを何度聴いても好きだわ~って思うのと同じかな! ライブでみんなで一緒にとびきり美味しい玉ねぎを作れるといいなと思いました♪」(from:A.T Thu, Sep 18, 2008 at 11:31 AM)
→そやね。毎日同じことの繰り返しでおもろいと感じられるのは、あーた人生の達人ですな。その変化を楽しめるっつーのはすんばらしいです。関係ちょっとないけど、20くらいの頃、なんでも飯を食う時、これが最後の飯になるって食べてたわ。今の話と、「おくりびと」って映画を見て、そのころの自分おもいだしました。

■「だいぶ遅れちゃったけど、『一人ツアー』ありがとうございました。とっても素敵な夜でした。名古屋もまた是非来てください。
 さておき、音採りもあったのですね。新しい音、楽しみにしています。ハナタレがまだまだ小さくて、なかなか上京できない私には、ツアーやブログが唯一の楽しみ。これからも頑張ってくださいね」(from:ハルカゼ Sat, Sep 27, 2008 at 6:07 AM)
→おぉっ。あの五デイズにきてくれたのか? またいくよ、次は音源持っていけたらとおもっとるんで、聞いておくれよね。また会おう。

■「諭介さんこんにちは♪すっかり秋ですね~センチメンタルが倍増してることと思います。さっそく質問です! 最近は、どういう曲が書きたいな~って思いますか? あと、秋のフルーツで好きなのは何ですか? 風邪などひかずに元気でいてくださいませ☆」(from:月 Sun, Sep 28, 2008 at 12:10 PM)
→日本以外の人が聞いても、すんばらしいーと感嘆しちゃうような曲が作りたいです。もちろんにほんでもね。フルーツは桃が好きっす。もも。

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