ママチャリこいで、地元宮崎は延岡をながした。チリン。通学路だった道をこいでいく。「あんなーこーとーこんなーこーとー」って小学生、中学生、高校生の僕を眺めながらこいでいく。
この辺でうんこ我慢してかえってたなぁーとか、小1の時、商店街に「くるくる」って名前のブティックができて、その前を通る度に友達と「くるくるぱー! くるくるぱー!」っておばさんが怒るまで叫んで、怒ったら走って逃げたりしてたけど、1人のときは何も言えなかったなーとか。これといった発見はないけど、所々でタイムスリップしては、バイバイしてこいでいく。
ぼうーっと、ふらぁーっとこいでいくと、人が少ないことにきづいて、平日だったことをおもいだした。平日の昼間から働き盛りの三十代男が、少々小さめの不釣り合いなママチャリなんかをスリッパでぬぼぅーっとこいでいると、このご時世、不審者だと思われそうで。また、さっきまですれ違ってきた昔の自分達にもがっかりされそうで、少し不安になる。不安になったので自転車屋さんにいってタイヤの空気を入れ、新しい気持ちで再出発。
不審者に見られないよう、また、昔の自分達に恥ずかしくないように胸を張り、規則正しく、サドルと背骨が垂直になる形でピンと自転車をこいだ。
気持ちがいい、ぼうーっとしてない、すっきりしている。その上にタイヤの空気もパンパンで、さっきより楽にスピードがでる。楽にスピードがでるのでどんどんこいでく、どんどんこいでスピードが出ると何だか面白くなって、笑えてくる。足がおっつかなくなるくらいこいでくと、一瞬、どっかの店のガラスに自分が映った。
背筋を伸ばしすぎて胴が長く、ゼンマイを巻きすぎたおもちゃみたいで、これもこれで不審だなぁと。何が世間体だと、やっぱりだるそうにして、文句あるかと少しワルい感じでこいでいく。我ながら非常にめんどくさい性格だ。
とはいえ、延岡の町は緩やかに時間が流れ、雲が流れ、川が流れ、風が流れてた。日差しは眩しかったけど、空は広くて大きかった。誰がゼンマイを巻いてるわけでもないのに、流れていきよる。そんな中で僕も流れて生きよるのかとおもうと、暇過ぎたのか少し、ぐっとくる。水鳥みたいのが魚を狙うわけでもなく、川辺でずっと立ってた。何考えて、どんな時間に生きてんだろう。流れていく川と一緒になってた。
途中、友達宅に寄り、子供としゃぼん玉を飛ばし、服をもらい帰る。途中、夫婦で床屋を営む友達んちで、ぼぅっとして帰る。
同級生が子供を育て、夢持って大きな時間の中で暮らしているのを見ると、僕もぼぅーっとばかりしてられんなと。
流れていくものの中で、夢でっかくもってstay dream生かにゃあいかんなと、改めておもわされ、「二度目の上京」的な気分で東京に戻った次第だ。
テビュ―する前頃、下北の路上で歌ってたら、ばったり会ったひょんきちくん。高校の頃は喋ったことなかったけど、顔は知ってたから声かけた。高校の時から付き合ってるひょんこちゃんと上京し美容師やってると聞いて、下北のしょんべん横丁のおでん屋で一緒に飲んだ。
昔、親戚のおじさんが延岡で床屋やってて、そこにいくのがすきやったって。おじさん一人でやってた小さな床屋だけど、あんな床屋をやりたいとよね―って聞かせてくれた。たまたまその床屋さん、うちの近所で、僕が小学校低学年の時に行ってたとこで、切ってもらってたことがあった。
記憶のなかで映画みたいに残ってるんだけど、白い泡のいい匂いやら、夕陽のさしこんでくる感じやら。で、あんまりしゃべらないおじさん。切ってもらってる最中に僕は寝てしまって、目が覚めたらオジサンは入口のあたりでイスに座って、なんも言わずに新聞読んでた。僕をずっと寝かせておいてくれた。ゆっくりで静かで、夕陽で、いい匂いやった。
おじさんの床屋は今はもうないけど、おじさんが、僕が子共の頃に見せてくれた映画の続きを、ひょんきちくんとひょんこちゃんが一緒にみせてくれる、かわいいお店です。
おでん屋で聞かせてくれた夢がほんとになってて、すごいなぁっておもう。
延岡にいくことあれば、匂いをかいだり、髪切ったり、顔のマッサージに寄ってみてねん。
◆独占企画 諭介がお答え致します
■「こんばんは、初めまして。今日たまたま見てみたら更新されてて嬉しかったです。諭介さんの書く文章は重くはなく、すっと読めるんだけど不思議と胸に残る感じで好きです。毎月楽しみにして読んでます。
宮崎には親戚のおじさんが住んでます。父の従兄弟で延岡で病院をやってます。いつも干し椎茸を送ってくれるので、私の中で宮崎=干し椎茸、という図式になってます。そんな延岡のおじさんは、元気にしてるかな、と読んでいてふと思ったりしました。
"祝子川"の歌、聴いてみたいです。名古屋に住んでるので5、6月のライブ共ちょっと無理そうなので、残念です……。年内に行けるといいのですが。
変な感想でスミマセン。来月のエッセイも楽しみにしてます! それでは」
(from:大橋まどか 2007/04/27 23:49)
→間違いない。今は地鶏で有名やけど、前までは僕も特産物を聞かれるたびにちと困って椎茸って答えてたわ。今は玉ねぎとキンカンやね。っちゅうかいつでもいいからライブきねよ!
あっあと何かあったらおじさんとこの病院、よろしくおねがいします。
■「こんにちは。宮崎でのライブ楽しみです。ところで、最近行ったライブで諭介さんが“最近笑ってますか?"と何度も言ってたのがとても心に残ってます。諭介さんは最近笑ってますか?」
(from:匿名でよろしく 2007/04/29 10:13)
→多分自分に言ってたんでしょう。思い出せません。二ヤケてるほうが多くなったかもです。おやじですメタル。
■「辛いことが続き、もうダメだと思うことが何度もあって、それでも守らなければならないもののために、生きていかなければならなくて、嘘をつきながら、我慢しながら、めんどくさがりながらこれからどうしようかと悩みながら生活してます。
夜空を見上げて、夜の掛け布団を思い出し、この空の下、中尾さんがギター弾きながら歌ってると思うとそれだけで、なんだかホッとします。繋がってるかな東京まで。繋がっていたらいいな」
(from:スイ 2007/05/06 23:02)
→どっち方面かわからんけど、窓から夜空みてみたわ、繋がってたよ。ライブきなよ。
■「諭介さん お元気ですか? もうすぐ宮崎でのライブですね。このあいだ私は宮崎のアンテナショップに行ってきました。冷や汁、美味しかったです! それにしても、東国原知事の効果は絶大で……とても混雑していました。
最近のライブでの諭介さんは、声もパフォーマンスもいつにも増して伸び伸びしているように感じます。(日頃よく言っている)地に足をつけた・充実したコンディションだからなのでしょうか? それとも、いろいろチャレンジしていて毎日が刺激的なのでしょうか?……気になります(笑)。
新しい曲、“祝子川"の話。上野のライブで“川マニアのインザスープ"なんて、おっしゃっていましたね(笑)。今回の詞は、また興味深いです。ひとりひとりの気持ちが大きな力になる、すぐ隣の人(家族など)への思いやりが大切、さらには想いは時や人を超える……「変わる・変える」ことに対する諭介さんの考え方って、的確であり、しなやかさがありますよね。そして、せっかくなら私もポジティブな流れをどんどん作りたいです。またお会いできる日を楽しみにしています。
p.s."リトル・トリー"、本棚から見つけて読み直していますよ」
(from:オリオン 2007/05/08 3:23)
→僕はいつでも最高やけど、いつもより伸び伸びして見えるとすれば東国原知事効果の一つかもしれんね。
■「ゆうすけさんこんにちは。“朝、なんかの花とツボミたち"の写真とってもきれいで気に入りました。mixiで私のページだけで使用してもよろしいですか?」
(from:MOGU 2007/05/17 18:43)
→いいよー。
■「ゆうさんこんにちは。えほんの郷では、ステキなライブをありがとね♪ 星空の下でのライブは、私を最高にしあわせな気分にさせてくれました☆来年もぜひやってほしいです。ゆうさんの感想を聞かせてくださいな」
(from:名前はナイショにしてね 2007/05/23 17:46)
→いやーなかなか言い表せんけど、チャネリングやったね。UFO?みたしね。森の中で、えほんの郷の人たちが手作りでステージ、客席作ってくれてね。交通の便も不便なとこに、あんなに集まってくれてね。あんなに人の手の温度に包まれてやれるライブってなかなかないからね。ずーっと残るライブやとおもうから、またいつかじっくり書くわね。
0 件のコメント:
コメントを投稿