2023年4月4日火曜日

Vol.277「始業2023 ー新しい風に芽吹く音歌ー」の巻

  春が来ましたよ、来ましたね。春が来て嬉しいですが今年は自分、満開の桜をみて「あぁキレイだな」と感動することがないまま桜が散っていってしもうとります。その場面に出くわすことがなかったのか気づかなかったのか、天気があまりよくない日が多かったのか、気が焦ってるのか。こんな年もあるんですね、みんなはいかがだったでしょう? そんな春、チューリップには「可愛らしや」と思ったりもして。

 いやはや今年は年明けから何かと体調を崩しがちでしたが、一年の毒を最初に出していよいよ本番といった春であります。4月14日吉祥寺ROCK JOINT GBにて弾き語りワンマン、何卒体感しに来てもらえたらと思います。

 この日に向けて新曲を2曲作りました。
今月は「曲作り」について自分の思うことを書いてみたいと思います。
  
 最初に曲を作ったのは三歳くらいの時でしょうか、アメリカにいた時にバナナについて作った歌だと母が教えてくれましたが、これは覚えていないので飛ばしまして。高校の時に喧嘩をしなくてはならない状況になりまして、その日が近づいてきますと心が震えてくるので自分を鼓舞するためにも作った記憶があります。ギターはコードを3つほど弾けるようになっていたので見様見真似で書きました。覚えてるのは「人間には超えなくてはならない壁がある~」という出だしだったことくらいですが、いま思い返しても恥ずかしい、とても恥ずかしいです。出だしから「人間には」というのがもう何目線なんだろうかと言う感じですが、その時は心の支えになったんだと思います。当時聞いていた長渕剛の影響が出ていたと思います。その後違和感が拭えず歌わなくなりました。
 この違和感は「身の丈にあっていない」「長渕っぽい」ということだったと思います。そこで同じく高校時代、漫才相方の本田誠人と組んだ「たま」のようなバンド「のけもの」にて「夢」をテーマにそれぞれ書こうとなって、自分は「僕の小学校一年の時の夢は~タクシーの運転手~」と、その後抱いた夢、「サラリーマン」や「プロ野球の選手」「新聞記者」などを羅列したような歌でした。
 これは「身の丈にあっていない恥ずかしさ」を経ての「ありのままの自分」が達成できて曲も面白い曲だったのですが、どこか「そのまんま」感は否めないまま高校を卒業して大学へ。

 大学は神奈川県平塚市にあったのですが、地元よりも田舎で、畑が広がり山や川に包まれた金目町というところでした。毎日夕方になると畑の真ん中にいき、一人で歌っていました。最初は歌本を見て歌ってましたが、富士山に向かって即興で歌うことが増えていきました。叫んで叫んで、何がしたかったのか、叫んでいました。そんな日を過ごしてるうちに「富士山じゃなくて、人に聞いてもらいたいな」と思うようになり、平塚の駅前で歌うようになり、街行く人たちに向かって即興で歌いはじめました。今まで色んな場所で歌ってきましたが、いまだにこの頃の路上での経験が自分の根底にあります。また、ヒッチハイクで旅をしたりする中でぽつりぽつりと自分の曲ができていきました。手探りで曲を作り、何度も恥ずかしい自分と出会い、なんとなく「曲ができた」と思えるラインができてきて「人生レール」って曲ができた時に「自分の曲だ」と何かを超えれた感じがしました。
 しかし、自分のラインと人の反応は全く連動していないことも知りました。それでも「自分の曲ができた」と思えているから反応よりも歌いたくて歌っていると、時々「いい曲だね」なんて言ってくれる人がいて、やっぱり嬉しくて曲が自信をつけていきました。そう言ってくれたのが友達になったばかりのKだったりして嬉しかったのを覚えてます。曲ができると自信がもてて、その逆もしかり、その後も「自信喪失」と「でけた」を繰り返して今に至ります。

 曲作りは自己否定と自己肯定の繰り返しだなぁとよく思います。20代、30代の頃は吐き出す前に頭の中で「駄目だ駄目だ」と否定し、何も作れないことが多かったですが、最近はそれが変わってきました。
 ノートを一冊買って、このノート一冊で一曲作るぞと決め、自分が感じるテーマがある場合は、そのテーマについて思うことを何でもいいから書きます。例えば「東京タワー」というテーマだったら「赤い」や「とんがってる」とか何でもよくて、本当に思いつたことや、思ってたことを全部書く。こんなことしか浮かばんのかと思っても頭で消さず書きます。なんせノート一冊分書けますから何でも、馬鹿馬鹿しいなと思っても思ったことを書いていき、生活の中でノートを持ち歩き、ほとんど開かない日々が続いても持ち歩くだけで意識がずっと「東京タワー」にあって、ふと思いついたりするので書きます。テーマが何もない時はギターをただ弾きます。弾いて鼻歌で歌ってると「なんかいいな」ってのがなんとなく出てきたりしてそこからノートに書きます。何ページも書いてると、今自分はこんなことを言いたいんだなと文字が「ここだよー」と教えてくれます。そのノートを見ながらギターを弾いて、ハマりが良くなるまで弾きます。ある程度できたら清書をしてみて細かいことを気にせず言葉を埋めていきます。それを眺めて「恥ずかしい」とか「まだ何かあるな」を感じるところとニラメッコして心の線がスッと通る言葉を探します。書いてきたことから探したり新たに考えたりします。「なんだこれ」と思っていた言葉が光ってきたりもするので、何でも書いておいてよかったなと思います。
 出なかったら一旦おいて漬物みたいにねかせます。
それを繰り返して「できた」と思えるラインまでもっていき、そこからまた眺めまわして何度も歌います。煮詰まったらギターのコードを変えてみたり、ノートではなくてパソコンで清書してみたり、色んな角度から眺めてみます。

 と、最近はそんな感じで作っているんですが、何が言いたいかと言いますと、「心って、きづかないうちに色々感じているのだなぁ」とか「歌はどこにでもあって、誰でも作れるのだなぁ」とか「自分と向き合うと、意外とこんなことを思ってるんだなぁ」と発見があるということでしょうか。もちろんいいことばかりではないですから、心の奥の方から「みたくなかった自分」や「浅はかな自分」にも出会いますが、それをギターの音色やメロディーで昇華できたりすると救われます。これが曲作りの面白いとこだとも思います。ありきたりな言葉や使い古された言葉だったとしても、本当に自分の魂に触れている言葉だとメロディーを連れてきてくれて、自分だけの曲になるのも面白いです。
 重ね重ねになりますが、何が言いたいかと言いますと「心の奥から曲のしっぽを見つけて掴んで形にするのは、自分のことも知れて面白いよ、オススメです」ってことでしょうか。なんて、そんなことが言えるのは一段階の山を越えられたからでしょうね。その前に「できるんだろうか」「曲ってどうやって作るんだろか」なんて相変わらず思ってたことはどこへやらです。いつもゼロからですが、曲ができてくると説明のしようがない「できたとおもえるライン」が見えてきて、それが自分のやってきたこと、今生きてる証のようにも思えてやっぱり嬉しいです。希望です。自分のラインを超えたからと言って人がどう思うかはわからないのもまたドキドキですが、まだまだ磨いて、ワンマン全体を膨らませられたらと。「2023年弾き語りワンマン始業」吉祥寺ROCK JOINT GBにて体感してもらえたらと思いながら今月はこの辺で、よい新緑の季節を!

藤沼さん役の永瀬正敏さんを藤沼さんが観てる。

映画「GOLD FISH」全国劇場公開。

横浜サムズアップにて。

久々の京都にて。
地下鉄レトロ感あり。ホームもなんかいい。

京都大学にて「がむしゃら」ロケ
桜撮ってますね。

過激な看板。

京都は看板も中に入ってて押し付けがましくなくて
いいなぁとパシャリ。

京都の大宮にて。
この黒のギターケースが壊れたのでこのケースとの最後の旅。

人類、そのバトンをもつものとして進歩したいです。

繰り返し繰り返し。

この度中尾ちゃんと旅することになりました
カナダ出身のボブレンです。
よろしくお願いします。

今回もポスターを色んなところに貼ってもらいました。
ありがとうございます。

今回はこのポスターを物販で販売する事になりました。
ぜひお手にとってもらえたらと。
4/14始業2023
よろしくお願いします。

諭介がお答え致します

■「自分のお里に帰って充電してきたんですね。
自分の育った場所は帰るとホッとしますよね。
中尾さんの歌を聞きながら風を感じたり風景が浮かんでくるのは中尾さんの根っこのとこに延岡で育まれたキラキラした静けさがあるからなんですね。
これからもいろんな人、物事と繋がりながら歌旅を!そんな歌旅の景色を楽しみにしてます」
(柿の種 2023/03/16 21:48)
いい景色が見れますように、心が呼ぶ方へ、一個一個血肉にしていくので、一緒に景色をみてもらえたらと、ありがとう。

■「今回のコラムを読みながら、何曲かインザスープの歌を思い出し頭の中を流れていました。諭介さんがいつか音楽祭を開催されたら初延岡の地に足を運んでみたいです。
写真よりSAY-YOUさんの紙もの、内容を見ていたら面白くて、青春を感じました☆チャートもあったのでついやっちゃいましたが、SAYさんと相性ピッタリでした!」
(hitomi 2023/03/21 23:12)
ぎゃはっ、そっか、面白いね。高校時代に誠人もまさかこんなに時が過ぎて遊んでもらえるとは思わんかったやろね、ありがとう。

■「“健やかな心” 良い言葉ですね。
何かと時間に追われていて、目覚まし時計が鳴って「早く起きなきゃ!」っていう夢に起こされて時計を見たらまだ真夜中だったり・・・全く健やかな心を持てずにいるので、静けさを感じながらホッとできる場所、心がフラットになれる場所・・・諭介さんにとっての延岡みたいな場所があるってなんか良いなぁと感じました。
いつかそんな延岡での音楽祭が実現すると良いですね。
その時は私も諭介さんの歌を聴きながら延岡の風を感じて健やかになれたらなぁと思います。
寒暖差の激しい季節、体調を崩さないように楽しい春を!」
(夕陽 2023/03/26 15:15)
昨日、ライセンスの井本さんと収録終わりで健やかな心が大事な気がする旨伝えたら俺もそう思うしそう生きてるって。誰でも持ってるんだけど、若い時はそれが照れ臭かったりして、隠すために色んな防御をくっつけるとも話してて、おもろい話になったわ。誰でも持ってるのよね、ちょっと忘れちゃったりするだけで、というか、、夢の中の目覚まし時計で起きたら真夜中だったって、なかなかやりますな。

■「忙しくしていると、働いていない時間を「余暇」と言ってしまう。たぶん、労働と余暇のどちらが大切か、ではなくどちらも時間の捉え方がちょっとズレている。「余暇」とか「退屈な時間」ではなく、「静けさの時間」って、素敵ですね。自分に、自分のむこう側に還っていく時間。
新しい歌が生まれる予感ですね。春の風と芽吹き、楽しみにしています」
(まり 2023/03/26 21:11)
心が思い出してく感覚、時々はそこに触れて自分に還るって時間も必要なんだろうね。いいね、うん新たな曲が、一曲は必ずできそうなので聞いてね、お楽しみに!

■「暖かくなったかと思いきや、花冷えですね。油断して風邪を引いてしまったりするそうですが、日本には季節のことをいう言葉がたくさんあるんだなぁと思うと、花冷えも期間限定の素敵な言葉な気がしてしまいました。延岡での時間の話には、自分の気持ちがそんなふうになる場所があることを羨ましく思いました。何もないと言うけれど、諭介さんにとってはいろんなものがあるから、呑んだ帰り道に嬉しくなったり、ここで音楽祭をやってみたいという気持ちになったり、健やかな心を取り戻そうと思ったりするんだろうなと思いました。「健やかな心」これから年をとっていけば元気だとしても、身体の方はきっと自然と弱くなっていくものだから、心が健やかにいられるように思うことはとても大事なことのように思いました。私も忘れないようにしよう!!」
(A.T 2023/03/28 12:19)
花冷えって言うのね、刺すように寒いやつのことだろか、あったかくなってきてからのあれ、結構くるよね、昨日の夕方そうやった、、花冷えって素敵な言葉やけど。健やか、そういう気持ちだけで世界をいっぱいにしたいわ、世界というと大きすぎてどうしていいかわからないから、まずは自分をそういう気持ちでいっぱいにしたいわ。ほんでワンマンへっ。


5 件のコメント:

  1. 初めてインザスープの曲を聞いた時のことを思い出しながら、読みました。中尾さんの自分の中のザワザワしたものを表現する世界観がたまらなく好きだったこともさらに思い出して、「あーライブ行きて!」となりました。今自分がここにいるのは、そんな中尾さんに負けたくないと思ったからかもしれません。
    新しい曲、またどこかで聞けることを楽しみにしています。

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  2. 諭介さんの曲作りの過程を料理のレシピの如く丁寧に説明してもらいありがとうございます。ノート一冊に色々書きながら苦労して出来上がっていった曲たちをこれからも大切に聴いていきたいと思いました。
    あと、余談ですが昔どこかのライブで諭介さんが「さっき作ったまだできかけの曲」だと披露してくれた歌がとても印象的で今でも忘れられずに覚えています。たぶん諭介さんは覚えていないと思うのですが私の頭と心の中で保管されている大切な一曲です。

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  3. 「曲作り」について、面白かったです!諭介さんの曲作りの歴史が少し覗けたみたいで。高校のときは身の丈に合わなくても違和感、ありのままでもだめとか言ってて、大丈夫かなぁと思いましたが(笑)それでもずっと歌を作って歌い続けてたんですねー。大学のときに「できた」と思えたのはやっぱり全部やってきたことの積み重ねなんだろうなと思いました。ノートの話も言葉の積み重ねのような気がして、どんな出来事が、どんな言葉が光って何に繋がるかわからないところが面白いなぁと思ったりしました!私も自分の心が何を考えてるのか知りたくなったら、ノートになんでも書いてみるをやってみようかな。新曲も聴けた「2023年弾き語りワンマン始業」諭介さんらしいライブでとても良かったです!

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  4. 言葉で掘り進む
    宝さがしみたいですね。
    自分や世界の輪郭が
    言葉とメロディで形作られ 生まれていく感じ、素敵だな と思います。
    名前の無かったあの歌が
    見せてくれた海と空。
    新しい宝物になって、私の傍らにいます。
    また、どこかであの歌に再会できる日を楽しみにしています。

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  5. 諭介さんの歌は1曲1曲、選ばれなかった言葉もそのノート一冊分の思いが詰まってるのですね。心の奥の見たくなかった自分をギターや音色にのせれるなんてすごくいいなと思いました。心の奥の自分と向き合うのってすごく辛く大変なのでギターが弾けたら私もやってみたかったです。
    「できたとおもえるライン」なんだかその言葉だけでわくわくします☆また諭介さんの歌が聴ける日まで楽しみにしています。

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