2020年5月30日土曜日

Vol.243「2020年初夏、乾いた風に撫でられて」の巻

 サラサラ、サラサラとした風が気持ちよかった今日、日差しは暑く射してくるけど木陰に入ると涼しくて気持ちがいい、サラサラとして路上で横になったって気持ちがいいくらいだろうな。何日かお風呂に入らなくてもすみそうだな、いや入るけど。「今日は死ぬのに持ってこいの日だ」インディアンの囁きが聞こえてきそうなこの頃、いかがおすごしか。
 
 梅雨に入る前の初夏、今年はあと何回こんな日を過ごせるだろうか。そんな今日、街の小さな橋の上で人、人がソーシャルディスタンスをとりながら立ち止まったまま空を見上げたり、携帯を空にかざしたりしていた。
 橋のたもとに美味しいテイクアウトのお店でもあって、みんなソーシャルディスタンスを守って並んだ結果、橋の上まで人が来ちゃったのかな?と思うも、みんながみんなビルの上の空を見ているので、自分も見てみれば変わった様子はなく、でも、「いやこりゃ何かあるぞ」な雰囲気だったので、野次馬根性辛抱たまらず、1人で見上げてるおじさんに「何かあったんですか」とソーシャルディスタンスを保ち尋ねると、「ブルーインパルスが飛ぶのよ」とのことで「へぇー」と言った後に「ブルーインパルスってなんですか」と、なんとなく聞いたことがあった名前のなんとなくを払拭するべく聞いてみたらば「飛行機、軍の、戦闘機、医療従事者への感謝を伝える飛行でここを今から通るんだって」と、おじさんもどことなくテンションが上がってしまっているのかワクワクした感じがこちらにも伝わり、自分は気候がよく気分がいいのも手伝って、自然とおじさんのワクワクの調子に合わせることができて「なるほどっ、教えてくれてありがとうございます!」と言って気持ちよくすれ違った。
 サラサラとした空気の橋の上は白っぽく、ソーシャルディスタンスを保ちながら、人、人がワクワクして空を見上げていた。宣言が解除されて、ずーっと自粛をしてきた窮屈の解放も手伝ってか、共通の楽しみごとでみんなが祭りのように橋の上でつながっているように感じた。「いつかテレビで見た、外国でやっていたやつか」と思いながら、今か今かと見上げて待ってる人たちの間を、ソーシャルディスタンスを保ちながら早歩きで目的地へ向かった。橋を渡り小道に入ると、通りすぎてきた橋の方から歓声が聞こえてきた。その後すぐに遠くから戦闘機の音がどんどん近づいてくる、他では聞いたことがないような音が迫ってくる、どこか自分も「きたきたきた!」とテンションが上がり空を見上げた、ビルとビルで狭くなった空、乾いて澄んだ青空を戦闘機が数機、五線譜みたいな白い線を描いてあっという間に横切っていった。「うわーっ」となった。自分は自分の中に盛り上がる自分を感じた。「戦闘機ってかっこいいなぁ」「音がやっぱりちがうなぁ」「速いなぁ」他、言葉にできない本能にビリビリくるものの、「戦闘機ってかっこいい」プラモデルだったらいいけど、本物は同時に怖くもあり、うすら寒くもなり、ブルーハーツの「NO NO NO」って歌がよぎった。
 散った少年達の心にもあったんだろうか、そんな男子心、メカ的なものに盛り上がってしまう本能。不安や恐怖、国や家族を守る、正義心、などなど色んな要素がそれに着火して気持ちが燃えたりしたんだろうか。机上でおっさん達が決めた争いに巻き込まれて、それが正しいことのように道筋を作られ、着火して。
 抑止力だと言いながら、いつのまにかまた少年達が乗り込んで燃え上がってしまう。同じことをもう繰りさないように、そこへ向かいそうな手前の手前、何もできなかったとしても、心だけは太陽が昇るほうへ向けていたい。
 
 「良いことはカタツムリのスピードで進んでいく」最近またよく思い出す、いつか母が教えてくれたガンジーの言葉。政治をみてもSNSをみても心がざわつくことが多いこの頃。ざわつく心に自分のカタツムリを這わす。怒りでも祈りでも、ざわつきででこぼこになった心を平らにした上で、そこに立って自分の言葉で歌いたい。正義も金も恐怖も、時々人の心拍数をあげて狂った拍子をとりだすようにおもう。悪いことの進みは早い。よかれとおもいながら歪みが伝染する。伝染して集団で歪みをつくる。責任や覚悟のない言葉を垂れ流しながら自分の顔を汚してる。恥も知らずに上塗りされていき歪みだけが伝染していく。
 子供の時にみた、川の汚水に集まって餌をつけなくても釣れた、背中の曲がった魚。子供心に怖くおもった、魚のリズムに怖さを感じた。魚は当たり前に暮らしていただけなのに、自分がそうなっているとも気づかずに、知らぬ間にそうなってたんだと思う。環境のせいだとしても、自分で水を選べなかったか、自分の鼻で嗅ぎ分けて泳ぐ水を選べなかったかと、いつか後悔するんじゃないかと岐路に立たされてるような気もして、新型ウィルスによるこの期間に、自分も政治も世の中も、改めて生き方を問われてるように感じる。

 サラサラと乾いた空気は遠くまで見える。街も夢もぼやけてたものがくっきりしてくる。汗をかいてもサラサラしていて気持ちがいい。こんな空気だったなと、アメリカのインディアン居住区を思い出す。星が夜空いっぱいに見えて、気づけば星に囲まれていて鳥肌が立った。怖くなったが、これが本当だよなと思える怖さだった。「7代先の子供のことを考えて行動せよ」的なインディアンの言葉があるが、そんな星をみて暮らすインディアンの酋長、シャーマンに「今世界がどう見えているか」聞いてアドバイスをもらいたくなる。と、乾いた夜空にインディアンと場面を変えて見せてくれるコヨーテを近くに感じながら、今月はこの辺で。
 宣言解除もまだまだどうなるかわからない日々が続きますが、引き続き気をつけながら心健やかに頑張りましょう。ライブで安心しておもいきり2020楽しめる日がきますように。

自粛期間からはじめてのライブ。探り探りですが、復活。場所によっては、条件を満たしていれば、やっていこうと思います。無理なく行けそうだって時にまたぜひ遊びに来てください。

6月6日 Keep the Loft配信決定。LOFTがなかったらインザスープはまた違うバンドになってたんじゃないかってくらい影響を受けてきた場所の存続に向けて。

配信にて今年も決行。LOFT、この場所の縁を感じ、亡くなった南野さんが立っていた場所にて歌させていただきます。

年に一度のONE NIGHT STAND こちらも配信にて、そして有観客ライブは7月31日へ延期へ。今年もシビレさせてもらいます。

サラサラの空気にキャッチするのは、フラットな自分の土。太陽へ、ゆっくりと心を向けられますように。すべてがいとしくなるような気持ちを確かめて。

諭介がお答え致します

■「引き続きステイホームな日々ですが、いかがお過ごしでしょうか?幸い自分の周りには感染者はいませんが、誰もが知っている人の死は身近に感じ、悲しみも怖さも残ります。精神を引き継ぎ、パンツを見せて面白がる諭介さんほどではありませんが、それでも亡くなるほんの数週間前にだって「だいじょぶだ」って言葉は近くにありました。月末のGONDAさんとのツーマンも今年はドリフの予定でしたよね。ライブ前の掛け声にも。これから揃える掛け声にきっと想いは強くなりますね。諭介さんも書いていましたが、宣言が解除されてもライブハウスはきっと最後と私も感じています。でも、今の時代でよかったなと思うのは、ライブができなくても歌を届け、受け取れる手段が昔より多くあるところです。そりゃ目の前で体感できるライブの良さを知ってしまったら、それに勝るものはないけれど、届けてくれる今の歌を楽しみにしています」
(A.T 2020/05/18 17:17)
→配信で届けられるのはありがたいわ、そしてここにきて、こういうコンピューターに強い人の強さに感動したりもする。
うん、GONDAさんと話ししてて共通の好きなもので繋がって決めたのよね。配信前は開演が6時だから「6時だよ」にしてたんだけど、配信になったら開演が8時になっちゃってそのまんまになってしまうから「20時だよ」とさせていただきました。

■「志村けんさん私も残念でなりません。
追悼番組を見ていてワンシーンだけなのにすごく笑えるという面白さ。
子供の頃に自分の歌っていたカラスの歌、父がやっていたギャグなど忘れていただけで
志村さん発だったんだなあと何十年もたち今改めて私の生活にも根付いていたんだなと思いました。
インザスープのライブ前のかけ声が志村さんのギャグを真剣にだなんて最高ですね。どんなギャグなのか気になります☆
SNSやオンラインで今の諭介さんの歌が聴けたのはとても嬉しかったです。
YouTubeとかでも色んな方がリモート演奏されていたりとか、すごいすごい!と聴いていたりしますが
諭介さんの歌を聴くと、やっぱりこれだな。と
homeみたいな感じで私には必要不可欠なんだなと実感しています。
ツイキャスはPCでうまく視聴できずに、慌ててスマホにアプリを入れてなんとか視聴できましたが
視聴するほうも苦手だからじゃなく、知識をつけないとだめですね。5月末のライブまでに調べて解決しなければ!
貴重なオンラインでのライブまた聴かせてもらいます。楽しみにしていますね」
(hitomi 2020/05/19 23:06)
→ありがとうっ、嬉しいです。聞き方もそこにたどり着くまで大変よね、なんとか月末もたどり着けますように!
知識ね、本当に尊敬する。この配信システムを発信するために立ち向かう人たち。自分は説明書を読んだり、パスワードなんだったっけな、また新たに作らねば、とかやっていると大きな声を発したくなったり、頭の中がぷちぷちしてきたりして泣けてきます。
でもね、自分もゆっくり少しずつでも新しい知識を得ていこうとおもってるわ。がんばろう新時代。

■「諭介さんの中にある志村けんさんの精神みたいなものを少し感じる事があったので、志村けんさんの訃報に特別好きだったわけでも影響を受けたわけでもない私ですらショックだったのだから諭介さんはきっとショックを受けているんだろうなあと思っていました。
改めてコロナは怖いなあと感じたし早く収まって日常が戻るといいなあと思います。

決まっていたライブが全部延期や中止になってしまう中での配信ライブは新鮮だったし塞ぎがちだった気持ちを救ってくれたようで嬉しかったです。
生で直接音や空気を感じられる方が一番いいに決まってるけど、こういう形のライブも普段色んな事情で足を運べない人も見る事ができるし悪くないなあって思いました。
31日の配信ライブも楽しみにしてます。

でもやっぱり早くライブへ行きたいなあ!」
(夕陽 2020/05/23 14:27)
→ありがとうっ、確かにいいこともあるね、あとツイッターとか録画して送るやつとかで、これはこれでいいここともあるなぁと思ったのはギターの音。ライブハウスの音はシールド繋いで音を作って、その場所によって変わったり、客席とステージ上で違う音を聞いていたりするけど、自分で撮る音は生音で録画してるからギターそのまんまの音を聞いて届けられるところがおもしろいなぁとおもったし、ギターってやっぱり最高やなと再確認したりもして。んだ、はよライブで会える日を!