2006年10月27日金曜日

Vol.81「のびてる感じ」の巻

 ドレミファソラシドを弾く。ギターの単音。指で弦を一本一本、押さえて弾く。
ドレ~~ミーーファ~ソラーシーーードォードシーラ~~ソーファ~~ミレドォーー。
 かなりぎこちなくも、繰り返していくと少しずつスムーズに弾けるようになってくる。高校一年から今までギターを弾いてきて、ドレミファを弾きたくなったのははじめてのこと。誰のライブだったか忘れたけれど、ギターリストが単音でソロを弾いてるの見て、「自分も単音でギターが弾けるようになりたいな」とふと思い、そのまま練習スタジオに行って、ギターを借りてドレミファを探しあて、でかい音で2時間ほどドレミファを弾いた。   
  気分はいつかフジロックで観たニールヤングでドレミファだ。なんつうことないことだけど、やっぱり成長というか前進というか、少しずつでも弾けるようになってく実感は嬉しいもんだ。それで、少しでも慣れてくるとドレミファに気分ものっかって面白い。ドレミファだけじゃ物足りなくなって、違う音を探して、気分の音を見つけたら、次の音を探して、みつからなかったら、またドレミファ弾いて。なんてやってるのがおもしろい。
 そういう時のイメージって、キリンとかゾウに通じるのかもなとおもった。
例えばキリンは、「あの高いとこにある木の実を食べたいなぁ」と思って思って、長い時間かけて首が伸びて、ゾウは同じこと思っても鼻が伸びてる。もちろんキリンとゾウの本当の進化の理由はちがうだろうけど、例えばの話、そうだったらおもしろい。同じ願望を抱いて、伸びてるとこが違うってのが。というか願望でどっかが伸びるというのが、おもしろい。
 願望じゃなくても、ただ手をみるだけでもおもしろい。みんな同じような形をしてるのに、みんな違う。ココロはアメーバみたくいろいろと想ってきたが、ここに宇宙でただ一つのぼくの手がある。ダメダメなこともいいことも、一緒にやってきた僕の手だ。気が付けばキリンのクビがのびていたくらいに、僕の手だ。
(余談だけども何年か前に、気が付くと肘[ひじ]から2、3本毛がはえてた。鳥肌が立った。みんなにみせびらかして笑ったけど、少年期にチ○毛がはえてきた時の「オォッ」ってなワクワク感がなく、なにかとても残念な感じが、心のどっかに吹いていた。オヤジになると耳から毛がはえるってのと同じなのか、いやっ、違う! きっと肘をついてご飯をたべたり、ほおづえついて考え事をしたりと、人より肘を使うことが多かったために、ゾウの鼻がのびた要領で、クッション代わりに神様がくれたプレゼントなんだろう。できれば羽とかにしてもらいたかったけど。いやもしかすると、この10年スター活動をしてきたから、プレスリーとか錦野あきらみたいな、腕からビラビラがはえてるみたいなスター進化説ってのもあるが、どうでもいいっか。みんなもチェックしてみてください肘毛)

 インザスープ結成10年。
 “結成10年”てのは“、ランボルギーニカウンタック”って響きと同じくらいのかっこよさだ。
 終着駅がどこかなんてわからないままでいいけど、知らないうちにどっかが伸びていて、おもろい動物になれたらいいなと思うこれからだ。

秋は空が遠くまでみえていい感じだ。
愛車のアメリカンバイクに乗っての撮影。

2006年10月2日月曜日

Vol.80「母校閉校センチメンタル」の巻


すっかり寒くなってきて、鈴虫は東京にもいるもんだなぁと、秋を感じる今日この頃。いかがおすごしか?                                   
上野の不忍池の横を歩いていたら、金木犀(キンモクセイ)の匂いがした。
金木犀の匂いがすると、高校の授業中の窓から見た景色が浮かぶ。風が運ぶその匂いに僕も宙に浮いて夢の中。センチメンタルな帰り道、あのセーラー服、ペダルをゆっくり踏んだあの感じ、何をしゃべったのか全然覚えてないけど、今年の金木犀の香りはそのころの事をおもいださせた。匂いってすげぇーな。
もしも風や匂いがなかったら、それでも生活はできるのかもしれないけど、かなり味気ない生活になるだろうな。正気じゃいられんやろな。頭の方はかなりいろんな事を忘れがちになってきているけど、こんなことがあるからやってられるんだろな。

私事ではありますが来年の三月で、僕の卒業した延岡西高校がなくなるらしい。小子化のために。これも母校がなくなるからといって、自分の暮らしがなにか変わるわけじゃないと思うけど、やっぱりちと残念に思う。
どこでもいいやってなもんで進学して、はじめは東高を志望していたのだけど、合格したらなんでか家から遠い西高にまわされていた。
今になって思うと運命のイタズラってのを非常に感じるけども、今の僕があるのも西高での三年間がかなり影響していると思う。

中学校時代から同じ野球部だった本田誠人との出会い。中学の頃は、誠人はレギュラーで僕は補欠。帰り道も違って、笑いの方向性も違ってた。補欠軍団のうちらは「じょだんよー」とか「おねっちねっこねっちねっ」とか、この世にはない……今書いてて思ったけど……文字にすると何にも伝わらないような言葉をどんだけおもしろく、おもしろい顔で言えるかに賭けていたし、誠人はいつもそばにいる誰かを相方にして、ボケて突っ込むというような知的な笑いだった。何かおしゃれな感じがすると思いながらも、「なにがおもしれっちゃろねー」と思いながら、奇声を発することにいそしんでいたから、あまりしゃべった記憶もないくらいだ。
西高に入学して、そんな誠人とクラスが一緒になり、他に知ってる顔もなく、聞けば長渕剛の同じ曲が好きだったりして、仲良くなった。弁当の時間がつまらんねってとこから始めた漫才。誠人から教えてもらって、結局みっちり三年間漫才師だった。弁当の時間から始まって、全校集会、文化祭、体育祭と、学校行事では毎回、漫才をさせてもらっていた。先生らも止めるどころか、「お前はもっとこうしたほうが、おもしろくなれるぞ」なんてアドバイスをくれたりもした。 僕はそこで人前に出て何かを発する気持ちよさみたいなものを知った。
並行して、高1の昼休みに中庭で友達から教えてもらった、音楽室のガットギターでのGのコード。
あの気持ちよさから今まで、あきっぽい僕がずっとやってる。
他にも殴られたり、けんかしたり、いいことばかりじゃないけど、そんなのもひっくるめて、やりたいことをやらしてくれて、見守ってもらい、大きなきっかけと、影響をくれた西高だ。閉校ってのはやっぱり寂しい感じだ。
そしてあと半年で卒業する、後輩のいない三年生達。自分達が卒業したら母校はなくなるが、あと半年、爆発して楽しんで旅立ってもらいたいもんだと思う。母校がなくなっても、そこでの経験はずっと残るだろうし、何年経っても、風や金木犀の香りが運んできてくれて力をくれるとおもうから。なんつって校長先生みたいなことを思いながら、少々、秋の夜長のセンチメンタルだ。
P.S.最近、黒ゴマせんべいが好きなんだけど、マーガリンつけて食べるとまたうまいです。気が向いたら試してみてください。太ると思うけど。
あと、先月からみんなの声も聞けるようになって、この連載はじまって以来「ほんとに読んでくれてる人いたんだー」なんつって身近に感じ、嬉しくおもってます。質問やらにも、わんこそば的なテンポと要領で答えられたらと思ってます。気が向いたら寄ってみてくださいな。
ではまた来月!

※ 編集部より
諭介の相棒、本田誠人くんのブログはコチラです
http://blog.livedoor.jp/m_1974_honda/ 

◆独占企画 諭介がお答え致します


■「去年までは扇風機の話、東京に来てからクーラーを買ったことがない話があったが今年はどうなのか。慣れないクーラーの暮らしで風邪をひいたのかなどとくだらない想像を膨らませている。お大事に!」(from M.Iさん)
→ あんなに毎年クーラーのこと言ってたのに、クーラーつけて寝ました。今年の夏。あんまつけてないけどね、あんまつけてないけどね。びっくりする想像力っつうかなんつうか。

■「諭介さんの夏のヒットはなんだったかなぁ。私の中では高校野球の決勝戦と蚊取線香が2006年夏のランキングのトップ争いを繰り広げてます」(from Y.Hさん)
→ 僕も蚊取線香はぐっときた。去年ぐらいから。町内会の集まりが神社であって、ござをひいて焼肉。おじちゃん達はその上にどかって座って、おばちゃん達は酒をついだり、料理をしたり、僕らはぱっと食べて、あそんでたなーってな景色が浮かぶなー。でも好きだからって一晩中つけて寝ると、蚊に効くだけあって、朝、体がだるい気がせんでもないなー。蚊取線香嗅ぎすぎ注意や。

■「ジュテームの日は、ハンカチタオル持参で汗かき、べそかき、暴れにいくよー! 楽しみにしとるけんっv(^-^)v」(from愛だろ?真紀さん)
→ うわー

■「p.s黒いサンダル、かっこいいですねっ」(from N.Hさん)
→ かっこいいやろ

■「2006年、アックスボンバーな夏を楽しみましたか?(中略)アネッサのおかげで、日焼け知らず。髪もぐんぐん伸びてます。レッツ。健康ッ☆(中略)中尾くん。大丈夫。あんたはやるほうのオトコだと。思う。よ。ほんじゃ。まったにぃー♪」(from ヤマさん)
→ アックスボンバーって、アネッサってなんかね? うん、やるほうだよ、やる時はね。やらない時のほうが多いきがせんでもないけど。やるほうよ。あとうちらのパンチは後から効いてくるからね、気をつけて!

■「今夜はガリガリ君をかじりつつU2を聴いています(笑)。このエッセイは諭介さんの「お気に入り」も紹介されるので、それも興味深いのです。しばらくお会いできずにいますが、インスーを聴きながら目指すところへ向かって頑張ります。相乗効果でいたいですね。それでは、また!」(from オリオンさん)
→ 嬉しいね、反応があるっつうのは。相乗効果や。

■「そろそろ夜も涼しくなり、金木犀の香るいい季節ですが体調の方崩されない様ご自愛下さい」(from N.Yさん)
→ いいよねー金木犀。

■「中尾さんってルパン三世の“石川五ェ門"に似てますッ!」(from ヤマさん)
→ ぼかぁルパンがいいです。あの細い足首にすね毛がいいです。でも石川五右衛門でもいっか。

■「私は新しい生命を授かり、しばらくライブから遠ざかっていますが、胎教にインザスープを使わせていただいています。きっと元気な子が生まれてくれますよね」(from まりさん)
→まじかいな、すんごいね、インザスープは胎教にいい! 宇宙バンドやからね。ハナタレっぱなしの元気な子が出てくるよ!

※ 編集部より
みなさんからのメールに、お返事を書きたい!と諭介が言い出しましたので、一部ですがここに公開させて頂きました。次回から、ここにメール内容とお返事を公開されたら困る!という方は、ぜひお送り頂く文末にその旨を記してくださいませm(__)m  
おお カッコイイ。 平成のインディアン、ゆうすケンディアン。
(フォトBy大久保海太 )