2025年2月5日水曜日

Vol.299「35年ぶりに映画ブラックレインを劇場で観て」の巻

  2025年 明けまして一ヶ月経ち、節分も超えてしまいました。季節を分ける節分、梅の花も下北沢でみかけまして、暦の上では春ということでしょうか。しかし寒い真っ盛りですね、いかがおすごしか。
 自分は1月が何かしら濃い濃い毎日であったようにおもいます。初ライブの1月5日ラママLIVEや11日西川口LIVEのことが遠い遠い昔のことのように感じるのであります。ライブが終わるごとに余韻が上書きされてったり、全く異なる刺激をたくさんもらった一ヶ月だったからではないかと思われます。そんな一ヶ月の振り返りは写真のコーナーでやるとしまして、中でも久々の感覚になったのが、映画「ブラックレイン」を劇場に観にいったことでした。ロケで滞在中の山梨にてSNSで流れてきた、松田優作さんの娘さんの発信した宣伝。映画「ブラックレイン」の劇場公開情報、更には日本での劇場公開権利が今回までとのことで、日本の劇場で観れるのはこれが最後とのこと。劇場での公開に権利の期限があるなんて知らなかったです。
 ロケが早く終わり、もしやこれは観にいけるんではないかと山梨から新宿への電車の中で調べたら間に合うことがわかり、iPadでチケットを買ってそのまま劇場へ。そうして歩いてる間に、久々の感覚になりました。

 高校3年の頃だったか、僕は本屋さんで高倉健さんの「あなたに褒められたくて」という本に出会い感銘を受けた。CMなどでは見たことがあったけど「不器用ですから」的なイメージしかなく、しかしなぜこの人が大人達からこんなに支持をされてるのか、また、任侠モノのイメージが強かったところがページをめくれば、優しく語りかけてくるような文章で、人への愛情、見返りを求めない、察しあう心のこと「お心入れ」のことなどがエピソードの中で語られていて、「こういう人になりたい」とすっかり健さんのファンになった。その健さんがハリウッド映画に出るというので、地元延岡でも劇場公開された「ブラックレイン」を観に行った。映画を観終わると、健さんはもちろん素晴らしかったけど、悪役で出ていた松田優作に心を奪われた。ハリウッドスターであるマイケル・ダグラスやアンディ・ガルシアを完全に食っていた。日本人がハリウッドスターと対等にやり合っているのを観たことがなかったので、びっくりした。それ以前に三船敏郎や千葉真一などが世界に進出していたとしても、それはサムライだったり、ある特定の日本人然とした役としての出演に見えて。また健さんにしても、アメリカから見た日本人要素の強い役だった。松田優作も日本人の役ではあるけど、それまでの日本人役者としてのカテゴライズからはみ出していた。狂気、セクシー、存在感、迫力、それが画面の中で光を放ち、映画を観終わった後に完全にやられていた。観終わってロビーへ出れば、ロビーの柱には松田優作が亡くなっていることが書かれた新聞が張り出されていて更に衝撃を受けて、そこから松田優作の本を読み漁り、そのストイックな生き様に感銘を受け、自分もハリウッドスターになるしかないと思った。将来自分は何者になるのか何がしたいのか、どうやって生きて行くのか。高校卒業が近づくにつれて増してくる不安をハリウッドスターという夢で埋め尽くした。十代の物知らずゆえの開き直りに火がついた。同じ人間だ、夢はいくらでも描ける、叶わない夢などない、世の常識は通用しない、周りがなんと言おうと、突破していく気持ち、覚悟を固めるためにも友達に力説をした。「夢」を叶えるんだということ。はたまた上京してからも居酒屋などにいき知らないおじさんと話す、すると大抵は「将来何になるんだ」という話になる、「ハリウッドスターです」と答えると大体の大人は「そんなに甘い世界ではないぞ」「無理に決まってるだろう」的なことを言う、「待ってました」な気持ちになり「それはおいさんだからでしょ、僕は違うんだ」的な反論をする。とてもめんどくさい子供であるが、なんせ未知の世界、おいさん達にもわからない世界なのだからと語りぶつけることで夢への覚悟を決める燃料にさせてもらい、最終的には「がんばれよ」と奢ってもらうこともよくあった。

 上京した先が神奈川県平塚市の駅からまた30分バスに乗って辿り着く金目町という、畑や川に囲まれた宮崎の地元と変わらない田舎だった。何もないその場所で何かができる気だけしていて、では何をしていたかというと毎日歌ってた。畑の真ん中にいき誰もいない場所で大声はりあげて富士山に向かって歌を歌ってた。既存の歌を歌ってるうちに心がはみ出してきて、即興で心にあるものを叫んでた。暗くなるまでヘトヘトになるまで、何か燃やし尽くした気になるまで。語ってる夢とやってることが合っていない。歌ってばかりで時がすぎて、しかしこれではただのホラ吹きだということで、新聞の広告にあった俳優養成所のオーディションを受けに都内まで行き、合格して、入学費の10万円を友達に一万円ずつ10人に借りて逃げ道をなくして通い始めた。心に松田優作を宿らせて、授業を受けて早口言葉などをやった。しかしそこにくる周りの人たちはみんなサークル感覚に思え、舐めんなよと自分は友達も作らず、憧れのストイックを遂行し、早口言葉の発表なども、頼まれていないのに喜怒哀楽を交え変化をつけて発表したりしてた。一人だけ浮いていても、それが心にいる松田優作に認めてもらえればよかった。しかし授業がアクセントの授業になり、「橋」「箸」などのアクセントの違いがわからない。つまり訛りが直せない、これはいまだにそうだがメロディーなども、「そこは半音上がって」とか指摘されるとすぐにテンパってしまう。自分なりの「この言葉はこう言いたい」という気持ちの方が勝ってしまう。何度直されてもわからないアクセントに涙目になり、ハリウッドスターへの道は英語の前に日本語でつまずき断念。とても情けない気持ちで通うのをやめ、時間をかけて一万円ずつ友達に返していき謝った。その後、週刊ぴあの自主制作映画などの役者募集に応募して乞食役をやってみたり、仲代達也の無名塾のオーディションを受けて最終選考で落ちたり。その間もほぼ毎日歌は歌っていて、自然とハリウッドスターへの道が遠ざかり、本当にやりたいのは歌だとようやく気づき始め、フォーク喫茶で歌うようになり、そこへインザスープのドラム吉田くんからのバンドへのお誘いを受けて今に至る。

 「ブラックレイン」を初めて観てから35年、僕はハリウッドスターになっていないけど、勘違いでも夢に向かって足を運んでたあの時の気持ちや、読み漁った松田優作本で学んだことは、やっていることが違っていても今も流れてる。ビデオでは何度も観てきたけど、35年ぶりの劇場での鑑賞。劇場へ向かっているときに養成所へ通った時を思い出したり、ビデオでは感じなかった、松田優作や健さんに会いにいくんだという感覚、自分のアイデンティティの一部分を確かめに行くような感覚にもなり、あの頃の自分に会いに行くような気持ちになり、不安を夢で埋め尽くすきっかけになった映画の最後に、たまたま観に行けた奇跡感も重なってとてもワクワクした。そしてやっぱり最初に松田優作が登場するシーンに、変わらずゾクゾクした。映画が終わり、エンドロールが流れ終わると自然と拍手が起こって、35年の共有、知らないみんなと同じ気持ちで拍手できたのもよかった。音楽もライブがいいように、やはり映画も足を運んで劇場で観るのがいいものだなぁと改めて思った次第です。あとは写真コーナーに託しまして今月はこの辺で。まだまだ寒い日が続きそうですが体調に気をつけて、よい二月を。

 

明けました 2025 今年もよろしくお願いします。

弟と釣りに行くも寒くて、釣れる気もせず、定食屋でアシフライを食べて帰路へ

新宿マジックアワー

撮るK。

弦がよく切れるので紙やすりでギターのブリッジを削る

違いがわかるだろうか。これでだいぶいいはず、、

26年ぶりにたつラママ

物価高の中、安く美味しく提供してくれるお店はありがたいとパシャリ。しんぱち食堂

オールリクエストLIVEへ向けて特訓

そしてyou two..のLIVEをやり。初西川口

2/6のキースさん生誕祭に向けて顔合わせ

k’s dreamの海鮮丼、安くて上手くて感謝。築地の2600円の全然半分以下でこの美味さ。ご飯少なめで注文

ひとんちみたいなスタジオで

銀座の隙間で場と鳴ってみたい、怒られるんだろか

山梨へボクシングの試合観戦

ボクシングは午前中で終わってしまったのでスタッフと温泉へ

なんと贅沢か、遠くに富士山見ながらの露天風呂。いいお湯でした。

2日目も応援。今回は選手の体重が軽いので試合が午前で終了、ナイスファイトに拍手を送る。

そして帰路へ

そして電車内でチケット購入

やっぱカッコよかった。あん時の気持ち。観にいけてよかった

GOLD FISHも貼ってあり。ここでも上映したんですね。

映画愛

トイレにも感じる映画愛

新宿シネマート、いい映画館に出会えました。

目をひんむいて、真似したなぁ。客席には自分含めておじさん率高し。みんなきっと心に優作を宿らせてた時期があったんだろうな、みんなで思い出して拍手

松田優作は「ハリウッドでも健さんはみんなにリスペクトをされていてすごい、健さんが道をつくってくれた」的な事を本の中で言ってた。

そして会場を借りてリクエストLIVEのリハ

その帰り、延岡発祥の辛麺屋さんが下北沢に出来てて思わず立ち寄る。

自分が地元にいた頃は行った事がなかったから思い入れがそこまであるわけではないのだけど、なんだか嬉しいですね。

色んなコードがあるんだなぁと知れるのもリクエスト大会の醍醐味です。

そして当日、出来不出来がかなりありましたが、リクエストLIVE無事遂行。全20曲、今回知らない曲が多かった。

楽しかったです。ありがとう。

その翌日はキースさん生誕祭のリハ

大役も任されて、ばっちこいです。インザスープを組む前にKとARBコピーバンドを組んでたから本人のドラムで当時と同じ曲を弾いてるKをみてグッときたりして。

さぁさ、300回へ向けてTシャツのデザインを描かなきゃです。

そして発表になりました。弾き語りワンマン始業2025、今までになく明るい感じのポスターですね。LIVEもそんな風に始まりを予感させる日に出来たらと思います。4月11日はぜひ予定を空けて頂き足を運んでもらえたらと思います。よろしくお願いします。

で、今月の自己暗示呪文は「一個一個やっていくしかないべ、ありがたいこっちゃ」次々にそびえる山々、決まってる予定の先の事を考えるとこんなにできるんだろかとすぐにテンパリくんになりそうになるも、いつもの事、手前から一個一個やっていくしかなく、そしてこの状況はありがたい事なんだと実感、感謝で前向きに。  

 

 諭介がお答え致します

■「今年初めてのコメントなので・・・明けましておめでとうございます。
今年はIn the Soup25周年、この連載300回と長く続けてきたものがカタチとして残るイベントもあってワクワクしますね♪
よい1年になりますように・・・陰ながら応援してます。楽しみです」
(夕陽 2025/01/28 21:42)
明けましておめでと、いい年にしたりましょ2025!影と言わず応援よろしくお願いしますっ、ずっと読んでくれて、コメントもありがとうね、300回、すごいね!形にせねばや、ひとまずTシャツデザインに向かいます、お楽しみに!

■「毎月読んでいるのに連載のVol数そんなに気にしてなかったので300回目前と知って驚き!私もこんなに長く読み続けている連載ってあるのかな?そして、このコラムの存在はもうずっと前からあるものになっていて、タイトル通りふるさとのようですwネットで読めるようになった最初の頃は、諭介さんの書く文章が無料で読めるだけで嬉しかった記憶、そして諭介さんの言葉使いが独特で面白いところにアンダーラインを引くように読んでいて、ときどきほぼアンダーラインになることもあるくらい楽しみになっていました。今はあるのが当たり前になってしまってたなぁと300回目前に改めて故郷を大事にしたい気分にもなりますw継続してくれてありがとうございます!300回記念もとても楽しみ。2025年も1つ1つのライブが良いものになりますように!今年もよろしくお願いしまーす!」
(A.T 2025/01/29 12:26)
こちらこそ、毎回読んでくれて、コメントもありがとう、アンダーバーまで引いてみてくれてるのね、故郷大事によろしく頼みますよ、一個一個いいライブ上書きしていい年にしたります!

■「25年続けてるんですね。ずっと読んできているけれど300回、改めて聞くとすごいですね!きっとやめるならやめれただろうし、田中さんにも感謝です。
忙しい時もちゃんと月一書いていて☆素晴らしいなって思うし私も月一の楽しみになっています。雑誌からはじまり・・・これもまた歴史を感じますね。これからも約束の場所。楽しみにしています」
(hitomi 2025/01/30 17:24)
うぇい、忙しさにかまけて今回は締め切りすぎてしもて申し訳ないっ
ずっと読んでくれていてありがとう!こういう場所があってよかったなと思います、そう、田中さんにも感謝やねっ。


■「今年もニョロしくお願いします!
1年がスタートしたと思ったら…もう1/12が終わりますね。あと11回繰り返したらまた良いお年を!になっちゃう…
立ち止まっていたら、
あっという間にまた1年終わってしまいますね。今年はどんな色の1年にしたいのか…ちゃんと計画立てなきゃですね。
⚫︎ちなみに諭介さんは今年やりたいな!ってことはありますか?

インザスープ🥣は㊗️25周年YEARスタートですし、今日のマスター業も、こちらも25周年偉業達成継続中のエッセイの大バカ野郎集会も、夏の新島も…カレンダーの先々まで素敵な予定が入ってきて嬉しい限りです。夢や希望をありがとうございます!
今年もお元気で諭介さんらしく、ご無理のない程度に日々山々を超えて、しあわせな1年になりますように✨😌」
(みなちき 2025/01/31 8:23)
ありがたいこってす、次から次に山々、楽しみつくしたろうとおもうのでぜひ一緒に楽しんでもらえたらと思います。今年やりたい事は節約!ですねっ。

■「ペンション中尾7号棟で焚火囲んだマスターの宴を満喫させて頂きました!!
マスターも「ペンション仕上がった感」を表明されていた気がしますが、ほんとに宿泊客の皆さんが「マスターに歌わせ甲斐のある曲」審美眼を心得てきて、なにか到達した感を感じました。その分、多忙の中、マスターはお腹いっぱいだったのではないでしょうか、本当にお疲れ様でした、ありがとうございました。

私のリクエストは曽我部恵一さんの「天使」、最高でした。ちなみに私的には、「羽の先っちょ」って歌詞が中尾さんぽいな、サビの突き抜ける高音でほんとちょっと泣いてしまう。新宿LOFTに行くときは、新宿東口の信号で天使を探してます。

それでは、宴から一夜明けて朝、里山保育園でこどもたちと遊んできます!(笑)」
(しゃるろっか 2025/02/01 0:07)
くふふっ設定につきあってくれてありがとう、天使ね、なんか泣けるね、天使がおじさんだったって自分もおじさんだから、視点の優しさに泣けるんだろね、リクエストありがとうね、またよろしくです!