2024年10月1日火曜日

Vol.295「you two..深海にて」の巻

  長く暑い夏が観念したか、東京。ようやく涼しげな空気になってきまして、なるべくながーく、秋はなるべくながーくお願いしたいとこであります。しかし最後の夏の暑さにはまいった。あたくしSNS等で「初秋お見舞い申し上げます」なんて挨拶をしたのですが、何度撤回しようと思ったことか。秋のつもりで外を歩いてたら「なんじゃこりゃ」ってな暑さで、秋だと思っているものだから余計に暑く感じちゃったりなんかして、残暑を通り越して、残った暑さがアスファルトやビルに行き場なく溜まっていった感じだったので、残暑でなくて初秋でなくて、「夏溜まりお見舞い申し上げます」といった挨拶になるんじゃないかという事を、煮えた頭で何度考えた事か。気候の変動と共に挨拶も変わっていきそうですね。ともあれようやくの初秋、いかがおすごしか。

 相変わらず自分は、様々な形態での音楽活動が続いてる。今回はその中の一つ「you two..」について改めて説明しようと思う。鈴ノ木ユウ(通称スージー)。今は「コウノドリ」「龍馬がゆく」を描いて、言わずと知られてる漫画家だけど、その前はバンドマン、音楽の世界にいた。あれは2004年とかだろうか、タイムスリップランデブーというバンドのVocal、近藤金吾さんの企画で、複数のバンドマンが一曲を作るという企画に僕も誘われて作ることになった。とはいえ誰と作るのかもわからず、顔合わせもなく、サビを任された。AメロBメロと他の人が作ったのがリレー方式でデータが回ってくるといったもので、自分はサビなので一番最後まで待っていた。はたしてどんな曲ができてくるのか楽しみだった。ようやく音源が送られてきてAメロが流れた瞬間に「いいやんっ」となった。雰囲気が好きだなぁと。Kと僕の中にある、共通のいいなぁと思うニュアンスにも似て、深海で同類の魚が出会うみたいな感覚があった。それがスージーとのファーストコンタクトだった。今のようにSNSで本人を調べたりできない時代だったので顔を知らず、ただ曲だけを聴いて親近感を持ち嬉しくなり、おかげでサビもすぐにできた。スージーは言葉遊びで「あいうえお」を元に大喜利とかであるように、歌詞の頭を「あいうえお」の順番で作るというルールを設けて作ってたそうで、Bメロを作った方も受け継いで「かきくけこ」を元に歌詞を作っていた。それを知らされたか否かは覚えてないけど僕は「さしすせそ」を元に作らねばならなかったのだろうけど、気づかなかったのか、無視したのか。いまだにそのことをスージーに「ルールを無視した」と言われるけど、全体的にいい曲ができたので、わるいともなんとも思わない。曲ができたら次はレコーディングをするというので、ようやく他の作者達と会うことになり、そのレコーディングスタジオで初めてスージーと会った。この時のこともスージーは今も言うが、僕はスージーを見るなり「あんたかい! Aメロ作ったのは! いーねー!」と詰め寄ったらしい。同じニュアンスを音楽で共有できる気がして嬉しかったんだと思う。会ってみてなおさら人物の雰囲気もいいなぁとなって、聞けば同い年だったりして、意気投合して遊ぶようになった。それまで自分はミュージシャン友達、特にボーカルの人とプライベートで呑んで遊んだりすることがなかったけど、スージーとは遊べた。一緒にライブをしたり呑んだり、僕の部屋で何もすることがなく「パチンコでも打ちにいきたいねぇ、でもそんな金ないねぇ」とか話してたらしい。僕はその時スケッチブックに絵を描いたりしてて、スージーが美術部だったとのことで、見てもらったことがあった。ペラペラとめくって「これがいいね」って指さしたのは、白紙の真ん中に絵の具でスーっと描いた一本のただの線だった。なんとなく僕は「なんだい、他に力作もあるのに」と拗ねた気分になったが、なんとなくそれを選んだ理由がわかった。何もしなくても一緒にいれる感じがあった。そんな時にスージーが「30もすぎたし、そろそろ人生を、、」的なことを言った。僕は「関係ないよ、30だろうがなんだろうが、昔の30と今の30は10歳くらい違うし、大丈夫だって!」的なことを言った。まだ探求して、いい曲を作れるはずだと思い、レコード会社との契約も無くなったばかりだったけど、音楽の道を選んでた自分にも言い聞かせた。深海で出会えた、いい曲を作る仲間ができたのに、その仲間に迷わないで欲しかったし、僕たちは間違ってないと思いたかったんだと思う。

 ある時スージーが、漫画を描いたと見せてくれた。バンドマンの話だった。美術部だったとはいえ、こんな風に描けるものなのかとおもった。どこか寂し気で、スージーの音楽とも共通してた。これをコンテストに出すという。そのあたりからスージーと会わなくなった。

 それから10年以上経った後、ジュテーム本番前の楽屋にいたときに携帯にスージーから「ユースケがんばれー!」とメッセージがきた。スージーが漫画家として成功したことは遠くで知っていたけど、連絡がきたのが久々だったので嬉しかった。その後イベンターのナオさんのお誘いでスージーと10年以上ぶりに呑むことになり、会っていなかった時間の事をお互い話した。
 あの漫画を見せてくれたあと、僕は弾き語りでも歌い、ツアーを回るようになったりニックバッカーズを結成したり、インザスープもまた動き始めたり、テレビのMCをしてる事や、この間にスージーの曲を共演者の高橋研さんが歌っていた事を報告したりして、スージーの話をきいた。見せてくれたあの漫画があの後、ちばてつや賞を獲ったこと。賞金をもらったけど、その頃に子供ができてその賞金だけではやっていけずバイトを二つ掛け持ちして子供を育て、子供が保育園に通うようになり、息子を自転車のカゴに乗せ保育園につれて行ってた時に、カゴに乗った息子から「お父さんの仕事って何?」と聞かれて「バイトだよ」と答えたと。すると子供は「バイト、バイト」と嬉しそうに連呼して、家族で居酒屋などにいくと注文を聞きに来た店員さんに息子が「俺のお父さん、バイトなんだぜ」と自慢気に言うのをみて、今のままではなんか嫌だなと思ったらしく、もう一度漫画を描いてみようと、奥さんと子供が寝た後に起こさないように、毎晩ユニットバスの中にこもって漫画を描いて、コンテストに出品してまた賞を獲り連載までこぎつけ、その連載はすぐに終わったけど、もう一度連載のチャンスをもらい、今までの音楽の話とは全く違う産婦人科の話を、漫画と産婦人科の事を一から勉強しながら描いてそれがみんなに読んでもらえるようになったと、そうなってからの苦労も聞き、自分も何かを頑張るときに、スージーがあんだけ頑張ってんだからと時々よぎる。

 そんなスージーが、ここ数年ひょっこりライブに顔を出すようになった。2022年の大晦日ライブに突然来て、その後たびたび来て呑んで帰ってを繰り返して、その度にユニットを組んで一緒にやろうと誘ってくるものの、半信半疑で真に受けてなかったが、どうやら本気で名前も考えたと伝えられたのが「you two..」でユウとユウスケでユウが二つだからと、自分はそれを聞いてもU2がいるし紛らわしいし、冗談だろうと思っていたら、どうやらそうではなく、先日知ったけどひょっこりきた大晦日のライブで僕の「night rider」を聞いて一緒にやりたいと思ってくれたらしい。一度音楽の深海で出会っているからスージーの曲、声、センスは大好きだけど、人と何かを組んでやっていこうとなると身構えたりしたりするもスージーの本気がわかり、去年初ライブを無事決行。
 スージーは僕の曲をYouTubeで今まで何度も聞いていて、歌詞が全部頭に入っていて、その曲を今なりに歌っていると「そこ違う、あのYouTubeのままがいいよ」とダメ出ししてきたり、たとえば舞台「荒れ野」後に歌ったセリフ曲を「あれいいからやろうよ」と選曲してきたり。「night rider」がきっかけだったりするのが、僕が何気に描いた一本の線を指さして「これがいいね」と言ったスージーの感覚のままな感じがして、嬉しくなる。 
 スージーの曲からの刺激もあったり、まさか頭から大体二人で歌ってハーモニーを聞かせるユニットを狙っていたとは知らず、音楽的刺激をもらったりして、「you two..」自分事を掘って潜ってをやってきて、また深海で一緒に歌ってるのが面白いです。引き続き自分事、掘って潜ってやりながら、12月29日は吉祥寺スターパインズカフェにて「you two..ワンマン」も決まりましたので、年末ですがぜひ体感してもらえたらと思いながら今月はこの辺で、長文失礼、よい秋を。

 

母と弟とスカイツリー。

母と弟と喫茶店。

母と弟とツリー。

母と弟と私。

横浜に来ると東京の窮屈がほどける感じがする
好きです横浜。

先輩の音歌、素敵で希望を感じました。

この日のための外丸さんとのユニットキャスケッターズもリハの時から刺激的でした。

SNSで拾ったんですが、このシーン流して観てましたが、この変化といい、2人の関係性といい、とても素敵だなぁと健さん熱再燃。

今月も何杯のラーメンを食べた事か。ここは昔バイト先の社長から教えてもらった西麻布の赤のれん。月一くらいですが27年くらい前から来てて、一度いいとも終わりのタモさんと遭遇。それが一番の薬味となり。

お客さんより頂き写真。
一彦さんとの巌流、かなり刺激頂きました。
ありがたい音楽の旅です。

イェイ!

10月11日にGBで行われる白鶴酒造のLIVEの打ち合わせ。
龍之介君とフラットオブサークルの佐々木君と。
楽しく終了、2人を残して自分はその後稲毛へ。

と、その打ち合わせの前日、僕はいつも行くスタジオで曲作りをしていたのですが、最後の方で座ってたソファーにピックが落ちているのを発見し、見てみればフラットオブサークルと。
ここに通って10年近く、フラットオブサークルのピックが落ちているのを発見したのは初めての事。というか佐々木君がここを使ってるなんて知らず、翌日会う人のピックが落ちていた時に味わう感覚、不思議でした。

妖精に近い男。

スージー。

Photo by Masumi

自分の海を掘って潜って11/23土曜日
弾き語りワンマン at 吉祥寺GB
晩秋2024、今年の自分歌旅の集大成にできたらと。

さぁいざ!インザスープワンマン
ジュテーム2024へ!やってやる!!!
  

 

 諭介がお答え致します

■「「8月を噛みしめて」自分が参加したライブ、参加できなかったライブを振り返りながら読みました。ライブではないけど、新曲を作った話がとても興味深かったです。初めて聴いたときは前向きな感じがして気がもらえると思ってたので、「seeds」ができた流れを知ってそんなふうにできたんだなぁと思って。とてもいい曲です!それと「アカリ」レコーディングの話も。きっかけになった日のこともその場にいたので思い出せます。とても素敵なアクションだと思うし曲が広がっていくのを思うと楽しみです。レコーディングの集合写真もいい写真だなと思いました。今年の夏はとても暑かったけれど、諭介さんの夏濃くて熱い夏でしたね。まだ少し暑くてもうすぐ10月なのが信じられないですが、ジュテームの秋も楽しみです!」
(A.T 2024/09/27 12:37)
→ようやく涼しくなってきましたね、seedsジュテームでもインザスープアレンジでやる予定なので、お楽しみに〜。アカリはコウ君がこっから頑張って作るのでこちらもお楽しみに〜

■「8月の振り返り日記、ありがとうございます。本当に濃く充実した夏だったようでなによりです。
諭介さんは日々を楽しむ天才だなあってよく思います。何でもない些細な出来事も考え方ひとつで面白おかしく変えることができるんだって気付かされます。私も諭介さんを見習ってこの秋を楽しみたいです。
まずはジュテーム楽しみです♪」
(夕陽 2024/09/28 21:19)
→楽しむプロだね、楽しむのが仕事な気が時々するわ。そうできない時は敗北だあね、なかなか難しいけど3割打てたらいい方の野球とおんなじくらいです。ジュテームお楽しみに!

■「残暑9月もお疲れサマーでした〜☆
8月はライブお写真日記でしたね!夏休みの宿題みたいで面白いですね♪

そして、ついについに!!
秋の訪れと一緒にやってくる年に一度の最大のインスーの日⁉️ジューテームが近づいて参りましたね。
ライブへ行けて居ない時期にも10/6が近づくと、金木犀の香りと共にIn the Soupという心の引き出しが自動オープンし、昔のキャーキャー言っていた若かりし自分や曲やメンバーの皆さんに思いを馳せひとり甘酸っぱくなっていました。
(もちろん❣️今も変わらず心の中では、キャーキャー言っていますのでご安心下さい🤭)
デビューから24年経っても、4人で元気に見せ(魅せ)耀き続けて下さることに感謝しかありません。50歳代の魅力、存分に知らしめて下さいね笑」
(ミナきち 2024/09/29 22:22)
→知らしめてやる!ずっと気にかけてくれてありがとうね。